日本地球惑星科学連合2018年大会

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[EE] Eveningポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-OS 海洋科学・海洋環境

[A-OS08] 季節から十年規模の気候変動と予測可能性

2018年5月20日(日) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

コンビーナ:望月 崇(国立研究開発法人海洋研究開発機構)、V Ramaswamy(NOAA GFDL)、森岡 優志(海洋研究開発機構)

[AOS08-P07] 日本近海における海面水温の十年規模変動

*吉田 久美1北村 佳照1中野 俊也1 (1.気象庁)

キーワード:海面水温、日本近海、十年規模変動

日本近海の海面水温(SST)の長期変化には、上昇トレンドのほかに十年程度の時間規模の変動が見られる。本研究では、この十年規模変動について、日本の地上気温の変動やその要因となる大気循環場との関係、季節による相違に着目して解析を行った。

解析対象期間は1958年から2016年までとした。日本近海の海域で平均したSSTには、1980年代の低温やそれに続く1990年前後の上昇、1990年代末以降の夏と冬の上昇・下降傾向の違いなど、日本地上気温と同じ変動が認められた。長期トレンドを除去し、5年移動平均により十年規模変動を抽出した日本近海のSSTと日本地上気温の相関は、春の本州東方を除いて概ね高く、日本近海では有意な相関が見られた(Fig. 1)。

日本近海を対象として季節別にEOF解析を行い、第1モードと大気循環場との関係を調べた。冬と夏のどちらも、第1モードで変動の約半分を説明することができる。冬の第1モードの空間パターンは日本の西の海域で振幅が大きく、スコアと北半球の500hPa高度の相関分布はWPパターンに近かった。個々の低温事例の検証からも、冬は東アジアモンスーンの影響が大きいことが分かった。一方、夏の第1モードは、日本の北の海域で振幅が大きく、西部太平洋赤道域の降水量や外向き放射量との相関が高いことから、熱帯の対流活動の影響を受けた中緯度の対流圏温度の上昇と関連する可能性が高い。

日本地上気温との相関が低い春の本州東方の海域のSST変動については、親潮面積との相関が見られることから、海洋循環との関連に着目して考察を行う。