日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] Eveningポスター発表

セッション記号 B (地球生命科学) » B-BG 地球生命科学・地圏生物圏相互作用

[B-BG03] 地球惑星科学と微生物生態学の接点

2018年5月23日(水) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

コンビーナ:砂村 倫成(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、濱村 奈津子(九州大学)、木庭 啓介(京都大学生態学研究センター、共同)、諸野 祐樹(海洋研究開発機構高知コア研究所)

[BBG03-P05] インド洋トランスフォーム断層内に海溝生命圏は形成されるか?

*砂村 倫成1 (1.東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)

キーワード:微生物生態系、微生物群集構造、超深海生命圏、リボゾームRNA

水深6000mを超える超深海は、太平洋プレートの沈み込む西部太平洋の海溝に存在し、海溝内には深海域とは明瞭に異なる特徴的な超深海海溝生命圏が見出されている。この微生物群集構造を規定する要因には、水深による圧力の増加と地形・斜面崩壊と堆積物被服度・深海底層流に基づく水塊構造の形成が考えられる。低・中速拡大の中央海嶺軸では、周辺の深海底よりも水深の深い峡谷をなすトランスフォーム断層が存在する。本研究では、海溝内生命圏と対比が可能なインド洋のマリーセレステにおける水塊構造探査と微生物群集構造探査を実施した。調査は断層に沿って断層内2点と断層外の1点で実施した。水温・塩分・圧力は、海溝内外で連続的に推移しており、断層内に特徴的な水塊の形成は認められなかった。また、微生物細胞密度は水深に応じて一定の割合で減少し、原核微生物の多様性は水深に応じて増加していた。一方で、トランスフォーム断層内の海底面近辺の水塊の微生物群集構造は、直上層に比べ、より浅層の2000-3500mの微生物群集構造と高い類似性を示した。これらの結果は一般的な深海域と同様であり、峡谷という地形要素だけでは、超深海海溝生命圏は形成されないといえる。