日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[EE] Eveningポスター発表

セッション記号 B (地球生命科学) » B-CG 地球生命科学複合領域・一般

[B-CG07] 地球惑星科学 生命圏フロンティアセッション

2018年5月21日(月) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

コンビーナ:高野 淑識(海洋研究開発機構)、鈴木 庸平(東京大学大学院理学系研究科)、福士 圭介(金沢大学環日本海域環境研究センター、共同)、加藤 真悟(国立研究開発法人理化学研究所)

[BCG07-P04] アミノ酸(ピバロイル/ イソプロピルエステル誘導体)の2次元ガスクロマトグラフィー/質量分析法(2D-GC/MS) による解析(予報)

*高野 淑識1樺島 文恵 (1.海洋研究開発機構)

キーワード:アミノ酸、2次元ガスクロマトグラフィー/質量分析法、ピバロイル / イソプロピルエステル誘導体化法

アミノ酸は、アミノ基(-NH2)とカルボキシル基(-COOH)を保有する有機分子である。生体を主要に構成するタンパク質の基本分子であり、代謝や生理機能の維持に深く関わる。まず、タンパク性アミノ酸の中心炭素のα-位には、水素(-H)がある。炭素は、原子価が4であるから、α-位にアミノ基、カルボキシル基ともう一つR-基が付加することにより、分子構造の多様性が生まれる。次に、α-位の炭素は、鏡像異性の中心(キラルセンター)になり、D-体とL-体の光学異性アミノ酸を生み出す。また、アミノ酸には、サルコシン、α-アミノ酪酸、α-アミノイソ酪酸、β-アラニン、γ-アミノ酪酸のような非タンパク性アミノ酸も存在することから、地球物質中だけでなく、物質進化のプロセス研究においても常に注目される有機分子である。
 アミノ酸の分析は、適切な前処理を行った後、i) アミノ酸に揮発性を持たせるために誘導体化を行い(例えば、ピバロイル / イソプロピルエステル化 [1])、ガスクロマトグラフィー/質量分析法(GC/MS)で解析する方法 [2, 3]、もしくは、ii) 高速液体クロマトグラフィー/質量分析法(HPLC/ESI-MS法)で解析する方法[4]、が挙げられる。分析精度・確度の最適条件を見出すために、上述の分析法に関するバリデーションは、様々な角度で行われてきた。
 ここでは、ピバロイル / イソプロピルエステル誘導体化(Pv/iPr)を用いた1次元GC/MS(1D-GC/MS)法を概説する。また、新しい分離手法の応用例として、2次元ガスクロマトグラフィー/質量分析法(2D-GC/MS) による精密解析の可能性を検証する。近年のアミノ酸分子レベル同位体の研究の進展とともに、2次元展開での新しい分離技術がアミノ酸の地球生命科学に供与する利点について、併せて議論する。
 本講演のうち、2次元ガスクロマトグラフィー/質量分析法(Multidimensional gas chromatography coupled to time-of-flight mass spectrometry (GC×GC-TOFMS) )に関する内容は、LECO Japan樺島 文恵 様、櫻井 昌文 様との共同研究開発である旨、付記する。

[ References ]

[1] Metges et al. (1996) Gas chromatography combustion isotope ratio mass spectrometric comparison of N-acetyl- and N-pivaloyl amino acid esters to measure N-15 isotopic abundances in physiological samples. Journal of Mass Spectrometry, 31, 367-376.

[2] Chikaraishi et al. (2009) Determination of aquatic food-web structure based on compound-specific nitrogen isotopic composition of amino acids. Limnology and Oceanography: Methods, 7, 740-750.

[3] Ohkouchi et al. (2017) Advances in the application of amino acid nitrogen isotopic analysis in ecological and biogeochemical studies. Organic Geochemistry, 113, 150-174.

[4] Takano et al. (2015) Isolation of underivatized amino acids by ion-pair high performance liquid chromatography for precise measurement of nitrogen isotopic composition of amino acids: development of comprehensive LC x GC/C/IRMS method. International Journal of Mass Spectrometry, 379, 16-25.

[5] Sugahara et al. (2018) The fate of D-amino acids in molecular evolution in space. Biochimica et Biophysica Acta (BBA) Proteins and Proteomics, doi: 10.1016/j.bbapap.2018.01.004.