日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] Eveningポスター発表

セッション記号 B (地球生命科学) » B-PT 古生物学・古生態学

[B-PT06] 地球生命史

2018年5月20日(日) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

コンビーナ:本山 功(山形大学理学部地球環境学科)、生形 貴男(京都大学大学院理学研究科地球惑星科学専攻)、守屋 和佳(早稲田大学 教育・総合科学学術院 地球科学専修)

[BPT06-P05] 新潟県糸魚川市に分布する石炭系青海石灰岩における遠洋域の礁生物相の復元

*高橋 唯1,2指田 勝男1上松 佐知子1 (1.筑波大学、2.室戸ジオパーク推進協議会)

キーワード:微小化石、秋吉帯、青海石灰岩、古生代、石炭紀

生物礁は現在の海洋において、最も生物多様性の高い生態系の一つであり、造礁生物の織りなす複雑な地形によって様々な適応や生物間の相互関係が形作られている。しかしながら、礁生態系は現在もっとも脅かされている生態系の一つでもあり、地質時代から現在に至るまでの礁生態系の変遷を解明することは重要な研究として位置づけられている。古生代の遠洋域の生物礁は礁性石灰岩として日本国内に分布している。演者らは秋吉帯に含まれる石炭系青海石灰岩を一例として研究している。青海石灰岩は秋吉帯の東端部に位置し、新潟研糸魚川市内に分布している。青海石灰岩は多くの化石を含むことから、1900年代初頭から古生物学的な研究の対象となり、日本の古生物学において歴史的な場所になっている。1918年に行われた最初の研究では、石炭紀の腕足類化石が報告され、日本で初めて石炭系の存在が確かめられた場所である。青海石灰岩から知られる化石は野外でも認識しやすい大型化石が大部分を占め、それらを除いた微小な化石のことはよくわかっていない。その理由は、層序学的に有用なフズリナや有孔虫を除いた微小化石群の報告自体がほとんどされてこなかったためである。そこで、本研究では微小化石群を明らかにして、既知の大型化石データと合わせることで、石炭紀の遠洋域における礁生態系の復元を試みる。得られた微小化石群にはコノドント、貝形虫、硬骨魚類及び軟骨魚類、軟体動物、ウニ類、ナマコ類、クモヒトデ類、海綿骨針、キチノゾア類が含まれる。綱レベルで貝形虫、硬骨魚、軟骨魚、ウニ、ナマコ、クモヒトデ、キチノゾアは青海石灰岩から初めての報告である。演者らは産出したコノドントを生層序学的に検討し、中期石炭系において4分帯の設定を行った。そして礁生態系を、当時礁に生息していた化石分類群それぞれの古生態学的な観点から復元を試みた。加えて、青海石灰岩における石炭紀中期の古生物地理をナマコの骨片化石や貝形虫等の底生生物相の対比から復元を行った。