日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] Eveningポスター発表

セッション記号 G (教育・アウトリーチ) » 教育・アウトリーチ

[G-04] 地球惑星科学のアウトリーチ

2018年5月20日(日) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

コンビーナ:植木 岳雪(千葉科学大学危機管理学部)、小森 次郎(帝京平成大学)、長谷川 直子(お茶の水女子大学、共同)、大木 聖子(慶應義塾大学 環境情報学部)

[G04-P03] 地震学のメディアフレーム-新聞メディアで表象される報道内容の計量分析

*山田 耕1 (1.早稲田大学政治経済学術院)

キーワード:機械学習、地震学、メディア

一般的に、国民は専門家からの科学的な情報をマスメディアの報道を通して受け取る。したがって、マスメディアは国民の科学知識の形成において重要な役割を担っているといえる。しかし、マスメディアは日々様々な科学情報を流しているが、その中身は基礎研究の成果から社会と密接な関係のある話題まで様々である。そのような観点から見ると、地震学は社会と密接な関係のある学問としてマスメディアから認識されており、メディアはそのような側面を強調し、報道していると予想される。特に、地震予知の話題はその最たるものであろう。地震学情報の分布については定性的に、社会的に密接な話題が多く、いわゆる地震学の成果に関する情報は少ないと思われているが、定量的な内容の分布がどのようなものであるのかという全体像は十分に分析なされていない。メディア上で表象される地震学に関する言説空間の広がりは、国民が持ちうる地震学の知識レベルを決定すると言える。本研究では機械学習を使い、マスメディアが長い間地震学に関してどのようなことを報じてきたのかということを明らかにし、先述した国民の知識レベルを推し量りたい。分析対象は、現在発行部数で上位3位を占める読売新聞、朝日新聞、毎日新聞とし、これらの1990年~2016年までに掲載された「地震学に関する」記事を分析する。テレビもマスメディアの代表として考えられるが、その言説空間が新聞と著しく異なるとは考えにくく、新聞メディアでの表象を追うことである程度日本のマスメディア全体を概観できるだろう。
本研究では、「地震学の専門知」ということを次のように定義して記事を選定する。地震学の専門知を地震に関係する科学的情報と読み替え、そのような情報が掲載されている記事には専門家もしくは専門機関が登場するだろうと考え、「地震and(研究or教授or専門家or大学or科学or気象庁)」をキーワードとして各新聞社のデータベースに入力し、約9万本の記事を抽出した。しかし、この条件だけでは地震とあまり関係のない記事もヒットしてしまうため、抽出した記事に対してさらに次の単語のいずれかが含まれている条件を課した:「津波、震度、耐震、震源、南海、東海、マグニチュード、活断層、余震、予測、トラフ、防災対策、地球、プレート、地震計、周期、直下型地震、減災、地震予知、地震波、海溝、液状化現象、地すべり、震央、継続時間」。その結果として、約2万本の記事が選定された。本研究では、これらの記事が地震学に関する何らかの科学的情報を掲載している記事とみなし、解析を行う。2万本の記事を機械学習にかけて、記事内容が同じ、つまり機械学習という観点からは使用されている単語群が確率的に高い割合で同じ記事を同定して、分類した。その結果、約25個のクラスターに分類することができ、現在それらの意味を整理しているところである。本講演では、地震学の専門知に関連してどのようなことが語られてきたのか、マスメディア上の言説空間の内容分布について報告したい。