[G05-P04] ホットメルトを使用した室内剥ぎ取り実習
キーワード:ホットメルト、室内実習、地層剥ぎ取り
著者は接着剤としてホットメルトに着目し、地層剥ぎ取りサンプリングを野外露頭、屋内堆積岩標本で行っている(笠間,2017など)。これらはグルーガンで使用する直径11 ないし11.5 mmのスティック状ホットメルトの端を直接ガスライターで加熱し試料に押し付け、冷却固化後、剥ぎ取るものである。ガスライターは電源の必要ない熱源であるため、場所を問わず多くの参加者が多数の試料を短時間のうちに収集できるメリットがある。ホットメルトは有害なガス発生がないため、室内作業に向いた接着剤として、産業界でも需要が伸びている接着剤である。この特徴を活かして“室内剥ぎ取り”という新たな実習形態を提案したい。剥ぎ取りは屋外露頭の一部を室内に持ち込む手段で、専ら野外で行うというものという常識があるが、これとは別に屋外から持ち込んだ堆積岩標本から剥ぎ取りによってサンプルを採取する実習の提案である。生命の星・地球博物館の地層剥ぎ取り特別展のワークショップ講座では1000人近い小学生親子を中心とした参加者があり、アンケートより堆積物(堆積岩)の理解に効果があり、その作業に対しても興味関心が非常に高いという結果を得ている。最も簡単な方法はホットメルトスティックを直接加熱するもので、短時間で多数のサンプルが得られる。本来の使用法であるグルーガンを用いれば、より広範囲のはぎ取りが可能である。グルーガンは直径11ないし11.5 mmスティックを使用する数十ワット以上の広面積対応タイプが使いやすい。標本面に空気が入らないように塗布し、強力に接着するために細目金網などの裏打ち材を押し当てる。この際は剥離紙を当て熱が伝わりにくい手袋をした手で押さえつけると良い。グルーが固化し始めた部分は裏打ち材が接着しないが、金網のような材料であればグルーは容易に中に注入でき、裏打ち材を接着させることができる。そして冷却固化後に剥ぎ取る。体験実習だけではなく、完成した剥ぎ取り試料(図参照)は教材としても有効である。
*本研究は、日本科学協会の笹川科学研究助成による助成を受けたものです。
【文献】 笠間友博,2017. “地層バイキング”特別展「地球を『はぎ取る』」ワークショップ報告. 自然科学のとびら, Vol.23, No.4, 28-29, 神奈川県立生命の星・地球博物館.
*本研究は、日本科学協会の笹川科学研究助成による助成を受けたものです。
【文献】 笠間友博,2017. “地層バイキング”特別展「地球を『はぎ取る』」ワークショップ報告. 自然科学のとびら, Vol.23, No.4, 28-29, 神奈川県立生命の星・地球博物館.