[HCG27-P08] カルシウムおよびカリウムシリケート水和物によるセシウムの吸着・共沈挙動とその変質プロセスにおけるセシウムの浸出挙動
キーワード:ジオポリマー、セシウム、吸着、共沈、浸出挙動
福島第一原子力発電所での事故以降、セシウム(Cs)を含んだ汚染水が発生している。その処理にはゼオライトがCsの吸着材として用いられており、使用済ゼオライトは固化体にして処分することが検討されている。現在まで、固化体の充填剤にはガラスやセメントが用いられて来たがそれぞれに短所があった。近年、それらの短所を補完する材料としてジオポリマーが注目されてきている。ジオポリマーの特徴として、カルシウムシリケート水和物(C-S-H)やカリウムシリケート水和物(K-S-H)などの二次生成物が放射性核種を収着する可能性が期待されていることや、出発物質の組成を変えることで異なる二次生成物を作り分ける可能性などが挙げられる。しかし、実際の処分環境におけるC-S-HおよびK-S-Hの変質や、変質におけるCsの浸出挙動についてのデータは十分ではない。また、特にK-S-HについてはCsの収着能に関しても理解されていない。そこで、C-S-HおよびK-S-HによるCsの吸着および共沈挙動を明らかにすることと、それらの変質におけるCsの浸出挙動を明らかにすることを目的とした。
吸着および共沈実験について、まずは実験前にC-S-HおよびK-S-Hの合成を行った。K-S-Hについては、C-S-Hと異なり合成方法が報告されていないので、メタカオリンと水ガラスを用いてジオポリマーを合成してK-A-S-Hとして用いた。吸着および共沈実験の結果、C-S-HおよびK-A-S-Hにおいて収着能を有するという結果が得られた。C-S-Hに関して、Ca/Si比が低い方が収着率が高く、また、吸着率と共沈率はほとんど同じであるという結果が得られた。これらの結果は先行研究と整合的である。また、C-S-HとK-A-S-Hを比較するとK-A-S-Hの方が収着率が高いことが明らかになった。これは、Csのイオン半径はCaよりもKに近いことが理由であると考えられる。
変質実験後の固体試料の分析から、本研究の期間内および実験条件では変質は認められなかった。しかし、イオン交換水および模擬海水における浸出実験の結果、吸着させておいたCsの一部が浸出していることを確認した。C-S-HとK-A-S-Hを比較すると、K-A-S-Hの方がCsの浸出率が低いことが明らかとなった。しかしながら、両者とも容易に吸着セシウムが反応溶液中の陽イオンと交換することから、長期間のCsの保持能は有しないと判断された。しかし、これら準安定相は安定相に変質する際に結晶構造内にCsを取り込む可能性があるため、変質する際のCsの挙動を明らかにすることが必要となる。
吸着および共沈実験について、まずは実験前にC-S-HおよびK-S-Hの合成を行った。K-S-Hについては、C-S-Hと異なり合成方法が報告されていないので、メタカオリンと水ガラスを用いてジオポリマーを合成してK-A-S-Hとして用いた。吸着および共沈実験の結果、C-S-HおよびK-A-S-Hにおいて収着能を有するという結果が得られた。C-S-Hに関して、Ca/Si比が低い方が収着率が高く、また、吸着率と共沈率はほとんど同じであるという結果が得られた。これらの結果は先行研究と整合的である。また、C-S-HとK-A-S-Hを比較するとK-A-S-Hの方が収着率が高いことが明らかになった。これは、Csのイオン半径はCaよりもKに近いことが理由であると考えられる。
変質実験後の固体試料の分析から、本研究の期間内および実験条件では変質は認められなかった。しかし、イオン交換水および模擬海水における浸出実験の結果、吸着させておいたCsの一部が浸出していることを確認した。C-S-HとK-A-S-Hを比較すると、K-A-S-Hの方がCsの浸出率が低いことが明らかとなった。しかしながら、両者とも容易に吸着セシウムが反応溶液中の陽イオンと交換することから、長期間のCsの保持能は有しないと判断された。しかし、これら準安定相は安定相に変質する際に結晶構造内にCsを取り込む可能性があるため、変質する際のCsの挙動を明らかにすることが必要となる。