[HGM03-P01] 火山の斜面形状と滑り面の熱力学的考察
キーワード:火山地形、非平衡熱力学、数値標高モデル、塑性ポテンシャル、粒状体
山地斜面ではしばしば、地滑りや火山における溶岩流のような物質移動が引き起こされる。土質力学の分野では、斜面安定の力学的な解析が行われており、土壌や岩石などの粒状物質のダイラタンシーは内部摩擦角やエネルギー比の関係で表す事ができる。一方で、地球科学の分野において、エネルギー比のような非観測量・理論的パラメータはそれほど使用されておらず、それゆえ、例えば地形学において非平衡熱力学的アプローチはほとんどない。加えて、山地災害の発生のメカニズムを解明するためには、解析的研究はもちろん、粒状物質の広い理論的応用もまた重要である。本研究では、その熱力学的な理論の確立と、山地災害を将来的に引き起こすであろう常時観測火山50のうち、特に危険度の高い火山らに対して数値標高モデル(DEM)解析を行った。さらに、先行研究に基づいて改めてややランダムに円錐形をとる火山の形状を明らかにしただけでなく、本研究では黄金比とされる稜線(火山の斜面)を非平衡熱力学から理論的に導出した。具体的には、最初に熱力学の第1法則から塑性ポテンシャルを導出した。次に剪断滑り面を対数螺旋として表す土圧モデルに基づいた、先行研究における火山の形状モデル式をClausius-Duhemの変分不等式を用いて証明した。