[MGI27-P05] Earth Mover’s distance (EMD)を利用した剛体粒子回転モデルより得られたSPOデータと変成岩中のSPOデータの定量比較
キーワード:形体定向配列、Earth Mover’s distance、剛体回転モデル
Shape preferred orientation (SPO)は岩石の微細変形構造解析において幅広く利用されるデータである。このようなデータの評価は定性的な分布パターンの比較によって行われるので、大量の分布パターンをシステマティックに評価することは困難である。このような困難さを解消するために、本研究では剛体粒子回転モデルによって計算されたSPOデータと実際に変成岩中に観察される柱状鉱物のSPOデータの評価尺度としてEarth Mover’s distance(EMD)を導入し、定量的なSPOパターンの類似度評価を行った。得られた結果から天然の分布データの形成条件を制約する指標として歪、degree of non-coaxiality, Flinn parameterの推定を試みた。比較する天然データはメタチャート中の電気石の長軸の方向、長軸の長さ、短軸の長さからなるデータで、3136と1577粒子に対して測定を行なって得た二つのデータセットを利用する。EMDによるSPOパターンの定量比較の結果として天然のSPOパターンは歪が1–2、degree of non-coaxialityが75-–90°、Flinn parameterを1–3の範囲に設定して計算したシミュレーションデータとよく類似していることがわかった。この結果は今回解析した岩石サンプルは純粋剪断が卓越した変形を経験したことを示唆する。