[MIS07-P04] 水溶液中における非晶質炭酸マグネシウムの形成と結晶化プロセス
キーワード:アモルファス、炭酸マグネシウム、水和物
炭酸マグネシウムは二酸化炭素のリザーバーとして期待されており、その形成過程について数多くの研究者の注目を集めてきた。MgCO3-H2O系において、過飽和な水溶液からの沈殿実験を常温常圧下で行った場合、安定相であるmagnesite(MgCO3)が形成しないことが知られている。この問題は”magnesite problem”と呼ばれ多くの研究が行われてきたが、いまだに解決には至っていない。さらに、この系ではmagnesiteが沈殿する代わりに十数種類もの様々な炭酸マグネシウム水和物が沈殿するが、これらの水和物の詳細な形成条件は不明である。近年、これらの炭酸マグネシウム水和物の前駆物質として、非晶質炭酸マグネシウム(Amorphous Magnesium Carbonate; AMC)の存在が報告された。数多くの準安定相である炭酸マグネシウム水和物が形成するMgCO3-H2O系において、このAMCの形成が重要な役割を果たしていると考えられる。本研究ではAMCの形成、結晶化プロセスの解明を目指し、MgCO3過飽和溶液を用いた沈殿実験を行った。
まず、0.2 Mの同濃度のNa2CO3水溶液とMgCl2水溶液を混合すると、混合直後から白色沈殿が形成した。沈殿物の濾過、乾燥を行い、得られた粉末のX線回折実験、TEM観察、赤外吸収測定により、形成した白色沈殿は数十nmほどのAMCであると確認された。また、このAMCはMgとCO3の比が1:1であり、MgCO3 1 molあたり最大2 molのH2Oを含むということが熱重量測定により明らかになった。温度一定の条件で溶液の攪拌を続けると、AMCは水溶液中でpHの上昇を伴い溶解し、炭酸マグネシウム水和物であるnesquehonite(MgCO3·3H2O)の針状結晶が形成した。さらに反応が進行するとnesquehoniteは溶解し、別の水和物であるdypingite (Mg5(CO3)4(OH)2·5H2O)の微細粒子が沈殿した。このように、AMCはnesquehoniteの前駆物質として形成し、MgCO3-H2O系において炭酸マグネシウム水和物の形成プロセスに影響を与えていると考えられる。AMCや水和物の局所構造を解析し、比較することなどにより、AMCからの詳細な沈殿プロセスの理解につながると期待できる。
まず、0.2 Mの同濃度のNa2CO3水溶液とMgCl2水溶液を混合すると、混合直後から白色沈殿が形成した。沈殿物の濾過、乾燥を行い、得られた粉末のX線回折実験、TEM観察、赤外吸収測定により、形成した白色沈殿は数十nmほどのAMCであると確認された。また、このAMCはMgとCO3の比が1:1であり、MgCO3 1 molあたり最大2 molのH2Oを含むということが熱重量測定により明らかになった。温度一定の条件で溶液の攪拌を続けると、AMCは水溶液中でpHの上昇を伴い溶解し、炭酸マグネシウム水和物であるnesquehonite(MgCO3·3H2O)の針状結晶が形成した。さらに反応が進行するとnesquehoniteは溶解し、別の水和物であるdypingite (Mg5(CO3)4(OH)2·5H2O)の微細粒子が沈殿した。このように、AMCはnesquehoniteの前駆物質として形成し、MgCO3-H2O系において炭酸マグネシウム水和物の形成プロセスに影響を与えていると考えられる。AMCや水和物の局所構造を解析し、比較することなどにより、AMCからの詳細な沈殿プロセスの理解につながると期待できる。