[MIS10-P04] 北大西洋深層水は北半球氷床化に関与したのか?
★招待講演
北大西洋深層水が果たした約270万年前の北半球氷床化と初期の氷期−間氷期サイクルへの役割は、依然としてよく分かっていない。本発表では、アイスランド南方沖から回収されたドリフト堆積物(IODP Site U1314コア)のIRDと等温残留磁化の分析によって、それらの関係を議論する。IRD記録は、環北大西洋大陸氷床がMIS G4氷期に最も大規模に崩壊し、その直後の退氷期には規模の大きな温暖化を伴っていたことを示す。一方、等温残留磁化獲得曲線の分析結果は、北大西洋深層水がMIS G4氷期の後に強化されていたことを示唆する。これらのことは、北大西洋深層水が、大西洋子午面循環の強化を通して、北半球氷床化や初期の氷期−間氷期サイクルのメカニズムとして重要な役割を担っていた可能性を示唆する。