日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] Eveningポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS10] 古気候・古海洋変動

2018年5月23日(水) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

コンビーナ:岡崎 裕典(九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門)、磯辺 篤彦(九州大学応用力学研究所)、北村 晃寿(静岡大学理学部地球科学教室、共同)、佐野 雅規(早稲田大学人間科学学術院)

[MIS10-P24] サンゴ骨格中のSr/Ca比とδ18Oを用いたジャワ海の表層海水温と塩分の復元

*源田 亜衣1鈴木 淳2石村 豊穂3池原 実4井上 麻夕里1 (1.岡山大学大学院自然科学研究科、2.独立行政法人産業技術総合研究所地質情報研究部門、3.独立行政法人国立高等専門学校機構 茨城工業高等専門学校、4.高知大学海洋コア総合研究センター)

インドネシア多島海は太平洋とインド洋の間に位置し、この海域には海洋大循環で唯一熱帯域を通るインドネシア通過流(ITF)が流れている。この通過流は太平洋-インド洋間の熱・水収支や大気-海洋熱フラックスに影響を与えることからアジアモンスーンやエルニーニョ/南方振動(ENSO)と密接に関わっていると考えられている。また、北西モンスーンに、南シナ海やジャワ海からマカッサル海峡南端に運ばれる低密度・低塩分の水塊はマカッサル海峡内のITFの表層の輸送を妨げる。そのため、このような水塊の挙動は太平洋からインド洋への熱輸送を変化させ、モンスーンやインド洋ダイポールへの影響も示唆されている。しかしながら、インドネシア多島海は地形の複雑性から数十年にわたる長期間の実測記録の蓄積が少ないのが現状である。そこで本研究では、サンゴ骨格中のSr/Ca比とδ18Oを分析し、過去数十年にわたる表層海水温と塩分の復元を試みた。

 本研究で用いたサンゴ骨格コア(Porites sp.)はジャワ海に位置するセリブ諸島から採取された。このサンゴの成長速度は約22 mm/年であり、本研究では1.6 mm間隔で分析を行ったため、時間分解能は約1ヶ月に相当する。

 分析の結果、本研究では1931年から2002までの海水温と塩分を復元した。復元した海水温はバイモーダルな季節変動をもち、過去70年間に約0.7℃の温度上昇が確認された。また、エルニーニョや正のIODには、インドネシア多島海周辺では海水温に負のアノマリが見られたり、降水量が減少すると言われている。しかし、時系列解析の結果から、本研究では海水温と塩分ともに、ENSOやIODとの明瞭な関係が認められなかった。