日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] Eveningポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS10] 古気候・古海洋変動

2018年5月23日(水) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

コンビーナ:岡崎 裕典(九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門)、磯辺 篤彦(九州大学応用力学研究所)、北村 晃寿(静岡大学理学部地球科学教室、共同)、佐野 雅規(早稲田大学人間科学学術院)

[MIS10-P27] 歴史ビッグデータ ~古文書記録の共同利用に向けた取り組み~

★招待講演

*市野 美夏1平野 淳平4増田 耕一3北本 朝展2,1庄 建治朗5 (1.大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構・ データサイエンス共同利用基盤施設 人文学オープンデータ共同利用センター、2.大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立情報学研究所、3.首都大学東京 都市環境学部、4.帝京大学 文学部、5.名古屋工業大学 社会工学科環境都市分野)

キーワード:古文書、データ共有、統合解析、古気候

古文書や古記録にはさまざまな過去の情報が記録されている。このような歴史時代の天気や災害,桜の開花やオーロラなどは,歴史学以外の地震学、気候学、天文学などの科学研究から人文社会分野に至るさまざまな分野で研究に利用されている。そして、これらの研究で利用する古文書などは共通の場合が多い。例えば、石川日記は東京都八王子市の農家の日記であり、1720年から記録があり、毎日の天気のほか、隕石や地震など、さまざまな記録が含まれている。しかし、このような古文書などに記録されたデータは、これまで、それぞれの分野で独自にデータ化され、研究もバラバラに進められてきた。また、歴史学においても、各研究者が細分化された地域・資料で独自に研究を進めている。
本研究は、このような人が自分の周囲の変化や事象などを記録したものさまざまな記録を「状況記録」とし、古文書などにある状況記録を「歴史的状況記録」とした。この「歴史的状況記録」は、前述のような歴史的状況記録データを利用する分野間の課題を解決するための概念でもある。「歴史的状況記録」を定義することは、非構造的な歴史的状況記録データの利用における課題を軽減し、データ利用を促進する。そして、これまで自然・人文・社会の細分化された分野で進められてきた研究やデータを、「歴史ビッグデータ」として自然と人間の連関(例えば、古気候と農業、災害、人口など)について時空間的な統合解析することで、新な知見の創出につながると考えている。近年,情報技術の発展にともない古典籍等のデジタル化やテキスト化が進み,歴史資料の利用は容易になってきた。とはいえ、現代の「ビッグデータ」と違い、統合解析のためにはデータ構造化が必要である。また、各研究分野での経験や知見を共有することも重要である。この一環として、CODHセミナー「歴史ビッグデータ~過去の記録の統合解析に向けた古文書データ化の挑戦~」を2018年3月に開催する。そして、各分野で独自に進めてきた資料収集の情報を共有するシステムの研究開発を進めている。