[MIS11-P05] 広田湾における珪藻群集から見た底質環境変化
キーワード:珪藻、津波
2011年3月11日に発生した東日本太平洋沖地震では東北地方を中心に広い範囲で津波被害が生じた. 研究対象海域である岩手県広田湾周辺では津波による多くの被害が発生し,広範囲にわたり津波起源堆積物が分布した.井上ほか(2016)では広田湾で採取された柱状試料を用い津波起源堆積物と過去の通常湾内堆積物との違いを岩相記載,粒度組成及び珪藻遺骸群集の特徴から明らかにした.本研究では,広田湾で採取された表層堆積物を用い,広田湾沿岸域における津波後の堆積環境の変化(粒度組成及び珪藻群集の特徴)を明らかにすることを目的とした.
本研究では主に湾内における音波探査と珪藻分析とふるい法による粒度分析を行った.粒度分析とサイドスキャンソナーによる底質判別の結果から,広田湾における粒度組成の特徴として,1)湾奥部では気仙川前面で砂質堆積物が優勢であり,沖に向かうにつれて粒子が細かくなること,2)気仙川河口付近には北西~南東方向に約500m発達する礫~粗粒砂ゾーンの存在が確認されたこと,3)湾中央部を東西に横切る測線では湾西側の唐桑半島沿岸で泥質堆積物が優勢であるが,東側に向かって砂質堆積物が優勢になっていき,湾東側の広田半島沿岸域では礫質堆積物が存在していること,4)湾中央部か湾口部にかけて泥質堆積物が優勢であることが判明した.また,2014~2017年の粒度分析の結果を比較し季節変化に着目した.2014年6月から2017年6月までは湾央部の含砂率が低いゾーンが春に集積,秋に分散する周期的な変化が見られた.2017年6月から10月にかけて大きな変化は見られなかった.
珪藻分析の結果,気仙川に近い点では淡水生種が優位であり,気仙川から離れた地点ほど淡水生種の割合が減少していく傾向が見られた.季節変化に着目すると,気仙川から離れた地点では春季に淡水生種が減少し海水生種が増加,秋季に淡水生種が増加し,海水生種が増加する傾向が見られた.気仙川に近い点では年々淡水生種が増加していく傾向が見られた.
また,井上ほか(2016)で分析された柱状試料の通常湾内堆積物と表層堆積物の珪藻群集を比較した結果,現在の底質環境は過去に戻りつつも変化していることが確認できた.
以上粒度分析と珪藻分析の結果から,広田湾における表層堆積物の特徴が明らかになった.秋季の湾奥堆積物は春季に比べ砂質物質が増加し,珪藻群集は淡水生種優勢の傾向が確認され,台風や大雨による河川流入量の変化での影響が推定される.
本研究では主に湾内における音波探査と珪藻分析とふるい法による粒度分析を行った.粒度分析とサイドスキャンソナーによる底質判別の結果から,広田湾における粒度組成の特徴として,1)湾奥部では気仙川前面で砂質堆積物が優勢であり,沖に向かうにつれて粒子が細かくなること,2)気仙川河口付近には北西~南東方向に約500m発達する礫~粗粒砂ゾーンの存在が確認されたこと,3)湾中央部を東西に横切る測線では湾西側の唐桑半島沿岸で泥質堆積物が優勢であるが,東側に向かって砂質堆積物が優勢になっていき,湾東側の広田半島沿岸域では礫質堆積物が存在していること,4)湾中央部か湾口部にかけて泥質堆積物が優勢であることが判明した.また,2014~2017年の粒度分析の結果を比較し季節変化に着目した.2014年6月から2017年6月までは湾央部の含砂率が低いゾーンが春に集積,秋に分散する周期的な変化が見られた.2017年6月から10月にかけて大きな変化は見られなかった.
珪藻分析の結果,気仙川に近い点では淡水生種が優位であり,気仙川から離れた地点ほど淡水生種の割合が減少していく傾向が見られた.季節変化に着目すると,気仙川から離れた地点では春季に淡水生種が減少し海水生種が増加,秋季に淡水生種が増加し,海水生種が増加する傾向が見られた.気仙川に近い点では年々淡水生種が増加していく傾向が見られた.
また,井上ほか(2016)で分析された柱状試料の通常湾内堆積物と表層堆積物の珪藻群集を比較した結果,現在の底質環境は過去に戻りつつも変化していることが確認できた.
以上粒度分析と珪藻分析の結果から,広田湾における表層堆積物の特徴が明らかになった.秋季の湾奥堆積物は春季に比べ砂質物質が増加し,珪藻群集は淡水生種優勢の傾向が確認され,台風や大雨による河川流入量の変化での影響が推定される.