日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] Eveningポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS11] 津波堆積物

2018年5月22日(火) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

コンビーナ:篠崎 鉄哉(筑波大学アイソトープ環境動態研究センター)、千葉 崇(一般財団法人海上災害防止センター)、石村 大輔(首都大学東京大学院都市環境科学研究科地理学教室)

[MIS11-P21] 沖縄県水納島における古津波履歴の解明

*藤田 稜介1後藤 和久1井龍 康文1宮城 邦昌阿部 朋弥2 (1.東北大学、2.産業技術総合研究所)

キーワード:津波堆積物、宮古諸島

沖縄県の宮古諸島においては,土壌層が薄いことなどから,1771年明和津波を含む古津波履歴が十分に解明されていない.宮古諸島のうち水納島には,1771年明和津波で堆積した津波石が標高7 m地点に確認されている(加藤,2000;後藤ら,2010).この津波石が堆積後に人為的に移動されていないと考えられること,粒径差による土砂の移動速度の違いから一般的には砂礫質津波堆積物の直上に津波石が堆積する(Yamada et al., 2014)ことを考えると,この津波石の直下には,1771年明和津波を含む宮古諸島では数少ない砂礫質津波堆積物が保存されている可能性がある.そこで,この津波石の直下を対象として古津波調査を実施した.
 本研究では,先述した水納島の津波石近辺でのトレンチ調査により,2層の砂礫質イベント層が認められ,それぞれ上位から砂層A,砂層Bと命名した.そして,粒度・粒子組成からいずれも台風などの高波起源とは考えにくいため,これら2層のイベント層を津波堆積物と認定した.砂層Aは,直上の津波石と同時に堆積した可能性が高く1771年明和津波起源だと考えられる.一方,砂層Bは,砂層中のサンゴ片や貝の放射性炭素年代測定から,約700~800年前以降に堆積したと考えられる.後者は,八重山諸島で行われた先行研究の結果(例えば,Ando et al., 2018)とも調和的であり,宮古諸島へも影響する巨大津波だった可能性が考えられる.