日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] Eveningポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS19] 大気電気学

2018年5月22日(火) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

コンビーナ:芳原 容英(電気通信大学 大学院情報理工学研究科)、鴨川 仁(東京学芸大学教育学部物理学科)

[MIS19-P05] 地吹雪発生時の大気電場と雪粒子分布の時系列変化

*鴨川 仁1源 泰拓1門倉 昭2平沢 尚彦2佐藤 光輝3 (1.東京学芸大学教育学部物理学科、2.国立極地研究所、3.北海道大学 大学院理学研究院 地球惑星科学部門)

キーワード:大気電場、地吹雪、雪粒子

南極・昭和基地における2015年1月から12月まで、1年間の降水粒子径、大気電場、および風速の時系列変動を精査した。降水粒子径はLaser Precipitation Monitorによる観測値を、大気電場は高さ約10メートルと約1メートルの2箇所のフィールドミル回転集電器による観測値を用いている。

一般に地上の大気電場は鉛直下向きを正と定義される。そして、その観測値は静穏時、気象条件による擾乱発生時を問わず概ね正で推移するが、激しい地吹雪の発生に伴ってまれに負の値を示すことがある。一方で、地吹雪時の吹雪粒子が負に帯電することが、室内実験および観測結果として良く知られている。2015年1月から12月までのあいだに、高さ10メートルの観測点での大気電場測定値が負になった時間は存在するが、高さ1メートルの観測点で大気電場測定値が負になる時間よりも著しく短い。また大気電場測定値が負になるときと正に戻る時、高さ10メートルの測定値と高さ1メートル高さ約1メートルの測定値の比が大きく変動する。すなわち、大気電場測定値が負になる時間帯の前後で、高さ方向の電場測定値の勾配が大きくなっていた。粒径分布の推移からは、大気電場はマイナスになる時間帯に粒子数がごく少数になっていることが認められる。すなわち、雪粒がたくさん舞っている状態から、粒の浮遊がほぼゼロに変わったタイミングで、大気電場はマイナスになるケースが生じていることが示された。