日本地球惑星科学連合2018年大会

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[O-06] ジオパークがつなぐ地球科学と社会 ー10年の成果と課題ー

2018年5月20日(日) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

コンビーナ:松原 典孝(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)、市橋 弥生(佐渡市教育委員会)、小原 北士(Mine秋吉台ジオパーク推進協議会、共同)、大野 希一(島原半島ジオパーク協議会事務局)

[O06-P13] 浅間山北麓ジオパークにおける地球科学と地域社会の結びつきと今後の展望

*坂口 豪1宮崎 貴1土屋 智美1今井 建吾1 (1.浅間山ジオパーク推進協議会)

キーワード:ジオパーク、ガイド、浅間山

浅間山北麓ジオパークの位置する群馬県嬬恋村と長野原町は、歴史的にも浅間山の麓であることから火山という地球の営みを身近なものとして体感しながら生活してきた地域である。浅間山北麓ジオパークは2016年9月に日本ジオパークへ認定されたが、それ以前から地球科学的な資源を観光や地域づくりへ活用してきた。

他方、ジオパークの理念に基づいた活動により、地域が一体となって地球科学的な資源であるジオサイトを本格的に活用し始めた。例えばそのことは、38カ所のジオサイトが選定され、ジオサイト間を結びつけるストーリーやモデルコースが構築され、さらにはそれらを案内するジオガイドが養成されていることからも垣間見ることができる。

 浅間山北麓ジオパークにおいては、運営委員やジオガイドといった地域住民がジオパークに深く関わることにより、地球科学と地域社会との結びつきが生まれている。例えば、浅間山溶岩樹型は国指定特別天然記念物に登録されている貴重な地域資源であり、地元の有志らが「溶岩樹型保護員の会」を構成してボランティアで保護活動をしている。会の代表は、貴重なものであることは十分に理解して日々の保護活動に励んでいるが、ジオパークの活動への参加をきっかけに、溶岩樹型が浅間山のどのような活動によりでき、なぜ貴重な地域資源であるのかを理解するようになった。これはジオパークが地域住民に新たな価値を発見することに寄与し、地球科学と地域とを結びつけている事例といえよう。

 またジオガイドは、地球科学と地域社会を結びつける上で欠かせない存在といえる。溶岩樹型保護員の会は、昨年の夏に初めて溶岩樹型観察会を開催した。観察会には子どもたちや親子連れなど地域の方々が多数集まった。従来まで、保護を主な活動としていた保護員の会が、溶岩樹型の利活用を含めた活動を展開するようになった。ジオパークの活動は、溶岩樹型等の地域資源の重要性を知り、それを守りながら資源の大切さを普及していく流れを作ることにある程度貢献していると考えられる。

 中学校と連携して、地元の子どもたちへの地域学習の場においてジオガイドが案内する体制も定着しつつある。今後は、地域内のすべての小・中・高等学校と連携した取り組みを行なっていくことで、ジオパークが地域社会に自然に溶け込んだ体制を構築していくことを目指していきたい。