日本地球惑星科学連合2018年大会

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[O-06] ジオパークがつなぐ地球科学と社会 ー10年の成果と課題ー

2018年5月20日(日) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

コンビーナ:松原 典孝(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)、市橋 弥生(佐渡市教育委員会)、小原 北士(Mine秋吉台ジオパーク推進協議会、共同)、大野 希一(島原半島ジオパーク協議会事務局)

[O06-P27] 第1回南紀熊野ジオパークこどもスクールin串本「来て見て触って食べてみて♪」

*築山 省仁1築山 由里子 (1.南紀熊野ジオパークガイドの会)

築山 省仁  築山 由里子 (南紀熊野ジオパークガイド)



<目的>

南紀熊野ジオパークは、和歌山県の南部と奈良県の一部をエリアとするジオパークである。そのエリアの中央に位置する串本町及び古座川町は海・山・川のそろった魅力が豊かな地域である。

独特の景観と多様な自然は、大地を作る地層や岩石の性質、周辺の海流・気候に由来するところが大きく、そこに根差した人々の歴史・文化・食も多彩な変化に富んでいる。

平成28年度に小・中・高校生を対象にした行事で、日本地震学会、日本火山学会、日本地質学会が共同で実施した『第17回地震火山こどもサマースクールin南紀熊野』は、子どもたちが南紀熊野地域の大地の営みを実感し、地震のしくみや過去の火山活動、土砂・津波災害など、自分が住む大地を考える機会となった。



この内容が、地域のこどもたちに取り組んでもらう良い体験プログラムであったことから、平成29年度に地震火山こどもサマースクールに携わったジオパークガイドを中心に『第1回南紀熊野ジオパークこどもスクールin串本』(以下、こどもスクールと書く)を企画、実施した。



 こどもスクールでは、この南紀熊野ジオパークの魅力を存分に体験してもらうことを主な目的として実施した。

大地の成り立ちに関する座学やフィールド実習を実施し、その中で災害の記録にも触れてもらうことで、自然には、恵みと災い、両方の側面があることの理解を促した。

 さらに、子どもたちによる「南紀熊野・大地の魅力PR合戦」を開催して、こどもスクールに参加して学んだ大地の魅力を、子どもたち自身に紹介してもらうことで主体的な自然との関わり方を見つけ、郷土への愛着心を高めてもらうことを目指した。



<実施概要>

 主催     南紀熊野ジオパークガイドの会

後援     南紀熊野ジオパーク推進協議会ほか

 参加者    小学生 19名     中学生 2名

 スタッフ   ジオパークガイド 13名  事務局 3名

 広報活動   県内の小中学校 ポスター掲示 ジオパークガイドによる声かけ

 プログラム  各ジオサイト等で地形・地質・動植物の観察とフィールドワーク

        上記に関するレクチャーと簡単な実験

        地域の歴史・文化・食に関するレクチャーと体験実習

        子どもたちによる班別学習成果発表会 



・今回のイベントにおいて、ジオパークガイドは、司会進行を進める「コーディネーター」、こどもたちと一緒に謎を見つける「大きなこども」という役割で参加した。



・イベント全般を通して、地質の説明は難しい、おもしろくないと子どもたちが感じないように、実際の岩などに触れることで五感に働きかける方法を採った。



・現地実習では、海岸や川辺で生物採集をするなど地域の自然を体験した。大きなこどもは、その場では解説はせずに、「どうしてかな?」「不思議だね!」と子どもが興味を持つ問いかけをして、子どもに座学や実験で疑問を解決してもらう対応を取った。



・実験では、教材に、生八つ橋やココアパウダーを使い、身近な材料でできる地学実験を行った。



【結果・考察】

良かったところ

・地元の子どもたちでも普段見ることのない景色を見せることができた。

・学校では学ばない地元の大地の成り立ちを教えられた。

・野外活動が減ってきている現状で、子どもたちが普段あまり経験していないようなことを経験させることができた。また、地元の人と接することができるプログラムだったので、これは次回からも取り入れていきたい。

・今回の活動を自由研究に取り上げた子どももいた。



反省したところ

・座学が多く、ゆとりの少ないこどもスクールだったように思う。次回はタイムテーブルにもう少しゆとりを入れることが必要かと考えられる。

・発表のために成果を話し合う時間が少なかった。

・子ども一人一人に発表の時の役割を与えるべきであった。

・今回の内容が中学生を対象とした内容だったが、中学生の参加者が少なく、ほとんどが小学生の参加者だった。今後は、小学生を対象にしたプログラムを検討したい。

・大きなこども(スタッフ)の勉強不足も目立った。下見の際に入念に現場を見る必要があった。



【今後の展望】

・地元の魅力を子どもたちは感じ取る良い機会となったので、今後も南紀熊野ジオパークこどもスクールを恒例事業として行っていきたい。