日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] Eveningポスター発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-EM 太陽地球系科学・宇宙電磁気学・宇宙環境

[P-EM19] 太陽圏・惑星間空間

2018年5月24日(木) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

コンビーナ:坪内 健(東京工業大学理学院)、西野 真木(名古屋大学宇宙地球環境研究所)、成行 泰裕(富山大学人間発達科学部)

[PEM19-P05] 直接観測を用いた無衝突衝撃波ジャンプ条件の下流パラメータ依存の相対評価

*荒木 瑞穂1桂華 邦裕1星野 真弘1 (1.東京大学大学院理学系研究科)

キーワード:無衝突衝撃波、衝撃波ジャンプ条件、直接観測、バウショック

高エネルギー宇宙線の起源として衝撃波加速が考えられているように、衝撃波の構造やプラズマの振る舞いを理解することは、宇宙における衝撃波加速を知る上で重要である。本研究では、無衝突衝撃波の大規模構造を詳しく理解するため、電磁場およびプラズマ直接観測が数多く実施されている地球Bow Shockについて、直接観測と理論を比較する。具体的には、MMS衛星の粒子観測器FPI(Fast Plasma Instrument)から得られたデータを用いて、衝撃波静止系であるde Hoffmann Teller系での上流と下流の物理量を同定する。一方で、観測から求めた上流パラメータとShock normalを用いて、衝撃波のジャンプ条件から理論的に得られる下流パラメータを求める。その上で、観測と理論の差異が温度異方性に対しどのように依存しているかを考察する。
 理論下流値の計算は、温度異方性を考慮したRankin-Hugonit関係式から導出される、Alfvénマッハ数に関する上流と下流の関係式を利用した。観測から求める上流・下流でのAlfvénマッハ数は、Minimum Variance Analysisを用いてShock Normalを見積もった後、de Hoffmann Teller系に変換して求めた。温度異方性は、上流下流ともに観測された値を用いた。 2017年10月について衛星がBow Shockを横切ったと考えられる5つの観測について調査したところ、全イベントにおいて、観測で得られた下流のAlfvénマッハ数と、Rankin-Hugoniot関係式から導出した下流のAlfvénマッハ数について、観測誤差以上のずれが生じた。観測値と理論値が異なる原因としては、下流の温度異方性以外に、下流からのヒートフラックス(ショックでの被加速高エネルギー粒子、磁気圏から流出した高エネルギー粒子)や下流の乱流磁場圧力の影響が考えられる。本発表では、高エネルギー粒子観測も合わせて用いることで、これらの相対的な重要性を議論する。