日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] Eveningポスター発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-PS 惑星科学

[P-PS08] 惑星科学

2018年5月20日(日) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

コンビーナ:岡本 尚也(国立研究開発法人宇宙航空開発機構 宇宙科学研究所)、黒崎 健二(名古屋大学大学院 理学研究科 素粒子宇宙物理学専攻)

[PPS08-P21] 物性物理に基づく比較惑星学 -惑星の自転周期によって示される惑星の形成過程-

*唐澤 信司1 (1.宮城工業高等専門学校 名誉教授)

キーワード:惑星の形成 、衛星の形成、宇宙塵、惑星の自転周期

惑星は同じ軌道領域を周回する星間物質を集めて誕生したとして、木星のガリレオ衛星の構成や太陽系の岩石型惑星の大気の成分などの説明ができます。これまで、惑星の自転周期のメカニズムについては詳しい論議がなされておりません。ところが、水星と金星を除き惑星の質量を横軸に自転周期を縦軸にとってて配列すると、質量と自転周期がほぼ反比例しています。これは惑星と同じ公転軌道上の星間物質が惑星を周回しながら惑星に取り込まれたことを示しています。
 均一な密度であっても星間物質でも重心があり、星間物質の大部分は万有引力によって重心に向かって引き寄せられます。太陽系では中心部の太陽に大部分の物質が集まっていますが、ランダムな運動をしている物質の中には重心に直角方向の運動成分を持つものがあり、全体の0.13%の物質が惑星になって周回していても不自然ではありません。従来の説は原始太陽系円盤の形成では星雲全体がゆっくり自転しているとして、星雲が収縮するに従い回転を増すというものです。しかし、太陽の自転の角運動量が太陽系全体の角運動量の0.5 %しかないことと矛盾します。また、太陽系円盤の要素である木星や土星は60個以上の衛星群の円盤があることも説明できません。
 同じ周回軌道で宇宙塵の微粒子が緩やかに接触すると接点が万有引力の10の36乗倍も大きいクーロン力の相互作用によって付着します。公転軌道に均等に分布して周回していた宇宙塵が塊になり、その塊が大きくなると、中心の天体が偏心した運動をします。初期段階では周回する衛星の公転と中心の天体の偏心運動の周期が一致します。そこで、惑星の赤道平面上に衛星群が成長します。衛星が宇宙塵との摩擦でエネルギ―を失うと、その衛星はエネルギ―の低い軌道に移ります。衛星の重力エネルギ―は下がりますが衛星の運動エネルギ―は増加します。そこで、周回する衛星が重心の惑星に接近すると公転周期が短くなります。それは平衡状態の法則(ビリアル定理)によるのであり、平衡を保って重力ポテンシャルが深い場所に存在する場合には運動エネルギ―が増した状態となります。周回する物質が重心の惑星に接近するほど重力エネルギ―から運動エネルギ―が得られます。惑星の自転と同じ周期で周回していた衛星は惑星に近づくと早く周回します。その衛星が惑星に取り込まれると衛星の運動量が加わり重心の惑星の自転が加速されます。
 なお、土星にリングが見られますが、万有引力には物体を引き裂くような力はありません。土星のリングが重力の力で分解したのであれば長期にわたり同じ軌道を周回しません。リングができるのは周回する彗星のような物質成分を持つ小惑星が惑星に近づいて惑星の重力ポテンシャルエネルギーが増加すると運動エネルギ―も増加した状態になり宇宙塵などの微粒子の衝突でも部分的に崩壊します。その破片の公転軌道が変わらないのは同じ重心系では質量の大きさには関係しないというケプラーの第三法則により説明されます。詳しくは、下記のwebsite をご覧ください。
[ http://www7b.biglobe.ne.jp/~shinji-k/Jp planetology cover.htm ]