[PPS09-P02] アセナフチレン(C12H8)分子による若い星の赤外スペクトルの再現
キーワード:星間ダスト、赤外スペクトル、PAH
最近、誕生後1000万年にも満たない若い星の赤外スペクトル(IR)が詳しく調べられ、リスト化されている(1)。リスト中53個の天体のうち半数は従来よく見られたIRを示し、コロネン様分子でスペクトルを再現できた(2)(3)。しかし残りの半数は全く異なっている。そこで量子化学手法によりスペクトルの背景にある分子を改めて同定することとした。
結果1―HD144432星:分子進化の出発分子を炭化水素6員環3個のフェナレン(C13H10)とした。これに高速のプロトン粒子が衝突すると炭素が一個ぬける。その後量子化学的再結合がおき、5員環1個と6員環2個が結合したアセナフチレン(C12H8)分子となる。また高エネルギー光により電子がはじきとばされて陽イオンとなると仮定し、イオン価数をゼロから+4まで変えてIR計算を行った。代表例であるHD144432星の観測スペクトルと計算結果を比較したところ、よく再現できたのは2価の陽イオン(C12H8)2+であった。下記に比較を示す(3)。
観測波長(ミクロン)8.3、9.2、10.0、11.3、14.0、14.6
計算波長 (ミクロン)8.2、9.1、 9.9、11.3、14.0、14.6
結果2―HD37357星:この星の観測スペクトルは下記に示すように複雑である。この場合、2価のアセナフチレン分子(C12H8)2+(下記、A)と3価の分子(C12H8)3+(下記、B)がこの星の周囲に共存していると考えると、加算されてスペクトルを良く再現できることが示唆できた(3)。
観測波長(ミクロン)6.3、7.5、7.8、8.2、8.6、9.2、10.0、11.2、14.0、14.6
計算波長 (A)。。。 6.1、―――― 8.2、8.6、9.2、 9.9、11.3、14.0、14.6
計算波長 (B)。。。6.3, 7.4, 7.8、---、---, ---, ---, ーー、11.1、---, 14.6
ここで見出されたアセナフチレンは生命の構成要素であるプリンやヌクレオチドに近い原初骨格を有しており、星間あるいは隕石などでの発見が期待される。
参考文献
(1)B. Acke et al., The Astrophysical Journal, 718:558 (2010)
(2)Norio Ota, arXiv.org 1703.05931 (2017)
(3)Norio Ota, arXiv.org 1709.04560 (2017)
結果1―HD144432星:分子進化の出発分子を炭化水素6員環3個のフェナレン(C13H10)とした。これに高速のプロトン粒子が衝突すると炭素が一個ぬける。その後量子化学的再結合がおき、5員環1個と6員環2個が結合したアセナフチレン(C12H8)分子となる。また高エネルギー光により電子がはじきとばされて陽イオンとなると仮定し、イオン価数をゼロから+4まで変えてIR計算を行った。代表例であるHD144432星の観測スペクトルと計算結果を比較したところ、よく再現できたのは2価の陽イオン(C12H8)2+であった。下記に比較を示す(3)。
観測波長(ミクロン)8.3、9.2、10.0、11.3、14.0、14.6
計算波長 (ミクロン)8.2、9.1、 9.9、11.3、14.0、14.6
結果2―HD37357星:この星の観測スペクトルは下記に示すように複雑である。この場合、2価のアセナフチレン分子(C12H8)2+(下記、A)と3価の分子(C12H8)3+(下記、B)がこの星の周囲に共存していると考えると、加算されてスペクトルを良く再現できることが示唆できた(3)。
観測波長(ミクロン)6.3、7.5、7.8、8.2、8.6、9.2、10.0、11.2、14.0、14.6
計算波長 (A)。。。 6.1、―――― 8.2、8.6、9.2、 9.9、11.3、14.0、14.6
計算波長 (B)。。。6.3, 7.4, 7.8、---、---, ---, ---, ーー、11.1、---, 14.6
ここで見出されたアセナフチレンは生命の構成要素であるプリンやヌクレオチドに近い原初骨格を有しており、星間あるいは隕石などでの発見が期待される。
参考文献
(1)B. Acke et al., The Astrophysical Journal, 718:558 (2010)
(2)Norio Ota, arXiv.org 1703.05931 (2017)
(3)Norio Ota, arXiv.org 1709.04560 (2017)