[SCG65-P05] PF法自動震源決定による2011年東北地方太平洋沖地震前後の震源の再解析
キーワード:自動震源決定、東北地方太平洋沖地震
平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震により,地震活動が広域にわたって極めて活発となった.そのため,一元化震源は,従来の基準で検知可能な全ての震源を精査,登録することができず,余震域で海域M3,内陸M2以上の処理基準を設けて登録されている.一方で,このような広域多発時の震源決定を目的として開発した自動処理手法(PF法; 溜渕・他, 2016, 験震時報)は,2016年4月に気象庁で運用を開始し,2016年熊本地震などで多数の震源を決定するなど,その利用が進んでいる.そこで本発表では,東大地震研の大規模連続地震波形データ解析システム(中川・他, 2016, 震研彙報)を利用し,2011年3月の連続波形に対してPF法を適用して自動震源決定の再解析を行った.その結果,2011年3月に登録されている一元化震源は55,273個に対して,PF法では約2倍以上の122,353個の震源を決定することができた.一元化震源とPF法自動震源を比較すると,内陸の浅い地震(Depth ≤ 30km)については,M1以上で90%以上の決定率で,さらに処理基準未満の地震が多数検出できた.したがって,南海トラフなど,東北地方太平洋沖地震と同様に広域災害が発生した際においても,余震域の広がりや地震活動の推移の把握に本PF法自動震源決定手法は有効である.本講演では,多数の震源が新たに検出されたことによって得られた,各地域のより詳細な地震活動についても報告する.