日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] Eveningポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-EM 固体地球電磁気学

[S-EM17] 地磁気・古地磁気・岩石磁気

2018年5月21日(月) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

コンビーナ:望月 伸竜(熊本大学大学院先導機構)、清水 久芳(東京大学地震研究所)

[SEM17-P03] エチオピア・アファール凹地、海洋底拡大軸域での地球電磁気学的探査

*石川 尚人1吉村 令慧2Tesfaye Kidane7加々島 慎一3東野 伸一郎4A. Muluneh Ameha6望月 伸竜5北川 桐香3乙藤 洋一郎8小原 徳昭9船木 實小木曽 哲1 (1.京都大学大学院人間・環境学研究科、2.京都大学防災研究所、3.山形大学理学部、4.九州大学大学院工学研究院、5.熊本大学大学院先導機構、6.アジスアベバ大学、7.University of KwaZulu Natal、8.地球年代学ネットワーク、9.ロボティスタ)

キーワード:海洋底拡大軸、アファール凹地、磁気異常

そのほとんどが海洋下で起こっているプレート拡大境界での海洋底の地磁気縞状異常の獲得形成過程を、我々が直接的に探査することは難しい。そこで、陸上において海洋底拡大現象が進行しつつあるエチオピア・アファール凹地を対象にし、プレート拡大軸域での磁気異常の分布と構造、その形成過程を明らかにする目的で、磁気探査、MT探査といった地球電磁気学的探査を主体とする調査研究を2016年度より進めている。今回は、その計画と2016/2017年度の調査と予察的な解析結果の概要を報告する。

エチオピア・アファール凹地は、大陸リフティングから進行して、現在海洋底拡大現象の開始時期の段階にあり、中央海嶺が陸上に露出していると考えられている。特に、Dabbahu火山周辺域(Dabbahu Rift)では、2005-09年にかけて、活発な地震活動と正断層系の形成があり、一部に溶岩の噴出が見られた。 GPS/地震観測のデータ解析により、長さ10~60km、幅1~3mの局所的な伸長(岩脈貫入)が繰り返され、総計として巾8m、長さ60km、深さ2~10kmの範囲で岩脈の貫入があったと推定されている。よって、この地域は海洋底拡大軸域の地下構造や磁気異常の獲得形成過程を探るための絶好のフィールドである。

 そこで我々はアファール凹地・Dabbahu Riftを対象にして、無人小型飛行機を活用した航空探査と、地形的制約で地域は限定されるものの試料採取を伴う直接的な地上調査を計画している。航空探査では、低飛行高度(複数)での広域で詳細な空中磁気探査を行う。地上探査では、磁気探査、MT探査、地表溶岩流の試料採取を行う。空中・地上磁気探査から詳細な磁気異常マップを構築し、MT探査結果とあわせて、地下構造を地球電磁気学的視点から明らかにする。採取岩石の古地磁気・岩石磁気学的解析、および岩石学的解析からの情報も加味して、Dabbahu Riftの磁気異常の分布と構造、その形成過程の解明を目指す。

 2016年度に4日間、2017年度に5日間の現地調査を行った。岩脈貫入推定位置の延長線上を横切る測線を設け、徒歩による地上磁気探査(約55km)とその測線上の14地点でMT探査(各点、日中6時間以上の観測)行った。両年で計33地点で古地磁気試料(92個)、31地点で化学分析等の岩石学的解析用の試料(46個)を採取した。それらの探査、岩石試料解析の予察的な結果を報告する。