日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] Eveningポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-EM 固体地球電磁気学

[S-EM17] 地磁気・古地磁気・岩石磁気

2018年5月21日(月) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

コンビーナ:望月 伸竜(熊本大学大学院先導機構)、清水 久芳(東京大学地震研究所)

[SEM17-P04] 小型高周波磁化率計の開発と岩石磁気への応用

*小玉 一人1 (1.同志社大学文化遺産情報科学調査研究センター)

キーワード:交流磁化率、高周波、超常磁性、周波数依存性

磁化率の周波数依存性の指標(fd: frequency-dependence index)として、異なる2周波数で測定した磁化率の差がよく用いられる。市販のBartington磁化率計では、0.47 kHzとその10倍の4.7 kHzを使い分ける。しかし自然試料では、磁性粒子のサイズや保持力が分布をもつため、試料本来の磁化率周波数スペクトルの帯域はかなり広い。実際には、1Hzから1MHzまで106程度の広帯域で磁化率を測定する必要がある。つまり、上のfd値は本来のスペクトルの低周波部分を表すにすぎない。本研究では、10 kHzから最大2 MHzまでの周波数帯域に特化した磁化率計を開発し、いくつかの代表的な試料を測定した。超小型デジタル近接センサー素子と各種センサーコイルを組み合わせることによって、機器全体を掌サイズに収めることができた。電池駆動なので野外測定にも適している。測定時間は数msなので、出力をほぼ連続的にモニターできる。低周波側にBartington磁化率計を用いれば、全体で104程度の広帯域を測定できるので、これまでのfd値よりも高感度・高分解能で、SP粒子などの定量が可能となろう。そのほか、高周波(>100 kHz)ではじめて明らかになる特殊な磁化率変化(例えば水の反磁性から常磁性への変化)を報告する。