日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[EJ] Eveningポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GD 測地学

[S-GD01] 重力・ジオイド

2018年5月23日(水) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

コンビーナ:Takayuki Miyazaki(Geospatial Information Authority of Japan)、山本 圭香(国立天文台)

[SGD01-P04] 東南極リュツォ・ホルム湾露岩域におけるA10重力計を用いた絶対重力測定

*西島 潤1青山 雄一2池田 博3服部 晃久4土井 浩一郎2福田 洋一5 (1.九州大学大学院 工学研究院 地球資源システム工学部門、2.国立極地研究所、3.筑波大学、4.総合研究大学院大学、5.京都大学)

キーワード:絶対重力測定、A10絶対重力計、氷床質量変動

南極氷床は地球全体の環境変動を将来予測する上で重要な役割を果たす。特に東南極は南極氷床の90%以上を占めているが、氷床変動やそのメカニズムについては明らかにされていない。この理由の一つとして、氷床荷重変動に対する固体地球の粘弾性応答の不明確さが挙げられる。 この粘弾性応答を明らかにするためには、長期にわたる地殻変動と重力変動の観測が必要であるが、現状では地表における観測点が不足している。そこで、第59次南極地域観測隊では東南極リュツォ・ホルム湾露岩域において、絶対重力測定点およびGNSS観測点を新設することを試みた。

 測定に使用した絶対重力計は米国Micro-g LaCoste社製A10絶対重力計(#017)を用いた。今回の測定点では、既存観測点である昭和基地(IAGBN(A))および第53次南極地域観測隊によって設置されたラングホブデ雪鳥沢(AGS01)観測点に加え、明るい岬、スカーレン、ルンドボークスヘッダ、ボツンヌーテンの4地域に新設点(観測点および補助点)を設置した。各観測点での測定は、Drop間隔1秒で2000 Dropの観測を行った。昭和基地においてはFG5#210との比較測定を行い、FG5とA10の器差についても評価を行った。両重力計間の器差を補正した結果、昭和基地における重力変化は2012年に行われた測定結果からほぼ変化が見られないという結果が得られた。また、ラングホブデ雪鳥沢(AGS01)観測点では、わずかに重力増加するという結果が得られた。
 このほか、新設した絶対重力点を基準にして、Scintrex CG3+(#296)重力計を用いた三角点の重力測定を行なった。測定を行った三角点数は明るい岬4点、スカーレン3点、ルンドボークスヘッダ5点、ボツンヌーテン1点である。本講演では測定結果の詳細を示すと共に、昭和基地、ラングホブデ観測点で観測された重力変化の原因について考察した結果を示す。