[SGL31-P02] 丸森変成岩の起源
キーワード:丸森変成岩、正珪岩
丸森変成岩類は、前期白亜紀に貫入した丸森複合花崗岩類のルーフペンダントとして存在する(藤田ほか, 1988[1])。その中の含ザクロ石オーソコーツァイト様珪岩は、成熟度の高い石英粒(淘汰が進み丸みを帯びたもの)が9割以上を占めている砂岩のことであり、後背地として大陸の存在が示唆される。丸森変成岩類は、白亜紀の接触変成以前に広域変成作用を受けているが、その詳細についてはあまり研究されていない。そこで本研究では、丸森変成岩に属するザクロ石珪岩、ザクロ石黒雲母石英片岩、角閃岩を取り上げ、丸森変成岩類の起源についての検討を試みた。
3つの岩石の鉱物組成は、ザクロ石珪岩がザクロ石―黒雲母―珪線石―石英―斜長石―不透明鉱物、ザクロ石黒雲母石英片岩がザクロ石―黒雲母―石英―斜長石―不透明鉱物、角閃岩がホルンブレンド―斜長石―不透明鉱物であった。原岩がオーソコーツァイトであることを示唆されているザクロ石珪岩において、砂漠成砂岩の特徴であるダストリングは偏光顕微鏡下で確認出来なかった。しかし石英粒の平面的な割合が90%以上であり、丸みを帯びた形状が確認されたことから、原岩がオーソコーツァイトの可能性は十分考えられる。ザクロ石黒雲母石英片岩の全岩化学組成から、特にHFSEについて大陸の砂岩に特徴的な値が確認できた。これは、原岩の堆積場が大陸もしくは縁辺部であることを示している。また、角閃岩とN-Type MORB(中央海嶺玄武岩, Sun & McDonough, 1989[3])の微量元素をスパイダーダイアグラムを用いて比較したところ、島弧玄武岩の特徴であるNbの枯渇を示さず、フラットなパターンが得られた。5億年前の日本列島の火山活動は島弧的条件で継続していることから、この角閃岩の原岩は島弧日本が形成される以前の塩基性火成岩が起源だと考えられる。
以上のことより、ザクロ石珪岩、ザクロ石黒雲母石英片岩、角閃岩を含む丸森変成岩類の原岩が、島弧日本が形成される以前のものと考えられ、且つ母体の変成岩とは異なると示唆された。
3つの岩石の鉱物組成は、ザクロ石珪岩がザクロ石―黒雲母―珪線石―石英―斜長石―不透明鉱物、ザクロ石黒雲母石英片岩がザクロ石―黒雲母―石英―斜長石―不透明鉱物、角閃岩がホルンブレンド―斜長石―不透明鉱物であった。原岩がオーソコーツァイトであることを示唆されているザクロ石珪岩において、砂漠成砂岩の特徴であるダストリングは偏光顕微鏡下で確認出来なかった。しかし石英粒の平面的な割合が90%以上であり、丸みを帯びた形状が確認されたことから、原岩がオーソコーツァイトの可能性は十分考えられる。ザクロ石黒雲母石英片岩の全岩化学組成から、特にHFSEについて大陸の砂岩に特徴的な値が確認できた。これは、原岩の堆積場が大陸もしくは縁辺部であることを示している。また、角閃岩とN-Type MORB(中央海嶺玄武岩, Sun & McDonough, 1989[3])の微量元素をスパイダーダイアグラムを用いて比較したところ、島弧玄武岩の特徴であるNbの枯渇を示さず、フラットなパターンが得られた。5億年前の日本列島の火山活動は島弧的条件で継続していることから、この角閃岩の原岩は島弧日本が形成される以前の塩基性火成岩が起源だと考えられる。
以上のことより、ザクロ石珪岩、ザクロ石黒雲母石英片岩、角閃岩を含む丸森変成岩類の原岩が、島弧日本が形成される以前のものと考えられ、且つ母体の変成岩とは異なると示唆された。