日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[EJ] Eveningポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-RD 資源・鉱床・資源探査

[S-RD33] 資源地質学

2018年5月23日(水) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

コンビーナ:大竹 翼(北海道大学大学院工学研究院 環境循環システム部門)、荒岡 大輔(産業技術総合研究所地圏資源環境研究部門)、高橋 亮平(秋田大学大学院国際資源学研究科、共同)、野崎 達生(海洋研究開発機構海底資源研究開発センター)

[SRD33-P12] Geological and geochemical studies on Miocene diatomaceous sedimentary rocks at Akita and Aomori in Japan; role of sulfur in maturation of organic matter and petroleum formation

*蛭田 衣音1掛川 武1石田 章純1 (1.東北大学大学院理学研究科)

キーワード:バイオマーカー、有機硫黄、石油

東北地方日本海側は我が国有数の石油の産出地域であり,中新世女川層に代表されるような珪質堆積岩が広く分布している.この珪質堆積岩は硫黄に富む有機物を多く含んでいることが知られている.

石油生成における硫黄の役割については未だ議論がなされている.硫黄が多い有機物中には結合エネルギーが弱いS–S,C–S結合が存在し,これらが続成作用の早期に開裂することによって,石油生成が促進されるという説もあるが,石油の元となる有機物中には多くても約10 wt %ほどしか含まれていないため,それだけでの説明は難しい.本研究では石油生成における硫黄の役割を包括的に検討することを目的としている.
女川相当層について秋田県鷹ノ巣および青森県鰺ヶ沢の2地域にて地質調査を行った.採取した試料から抽出性有機物の抽出を行いバイオマーカー分析および硫黄同位体組成分析を行った.ステランやホパンの分析から両地域の有機物は未熟成であることが明らかになった.一方で,露頭調査においては露頭から石油状物質が滲出しているのが観察されており,同じ露頭から採取した岩石の抽出性有機物の分析結果とは不整合であった.抽出性有機物の抽出を行なった岩石に酸処理を行い,ケロジェンを抽出した.ケロジェンの有機硫黄含有量を求めた結果,2–9 wt %であることがわかり,研究対象地域の有機物には硫黄が多く含まれることがわかった.以上の結果を踏まえ,有機物中の硫黄の存在が石油生成に何らかの影響を与えている可能性が示唆された.