[SSS14-P13] 見掛比抵抗と位相速度の同時逆解析による表層地盤構造の推定
表層地盤構造の調査には電気探査(垂直探査)や微動探査などが用いられている。これらの探査では、レイリー波位相速度や見掛比抵抗の逆解析によって1次元地盤モデルを推定することになる。さらに、見掛比抵抗と位相速度の同時逆解析も行われており、単独での逆解析に比べて安定してモデルを推定できることが示されている(Hering et al,1995)。
P波速度はレイリー波の位相速度に対する感度が低いため、一般的に微動探査での逆解析の際にP波速度はVp-Vs関係式を用いて計算され、全ての層で同じVp-Vs関係式を用いることが多い。しかしながら、地表付近には飽和度が100%でない不飽和帯が存在しており、不飽和帯と飽和帯ではS波速度は同じだがP波速度が異なることが知られている。そこで、本研究では飽和帯と不飽和帯で異なるVp-Vs関係式(Shofy, 2017)を用いた見掛比抵抗と位相速度の同時逆解析の手法を検討した。
まず、擬似観測データを数値実験によって提案手法の有効性を検討した。先行研究と同様に、同時逆解析によって安定してS波速度と比抵抗のモデルが推定できるという結果が得られた。さらに、実観測データに予想されるノイズやデータの不完全性の影響を受けづらいことも確認できた。
つぎに、熊本県KiK-net益城での1次元電気探査と微動探査によって得られた見掛比抵抗とレイリー波位相速度の実観測データに本手法を適用した。その結果、深さ20m程度まではPS検層とほぼ同じS波速度構造が得られた。P波速度の絶対値に関しては差が認められたものの、P波速度の変化の境界はほぼ同じ深さが得られ、地表付近でのP波速度の大きな変化を捉えることが出来た。
今後は地下水位が既知の場所で同時逆解析を行い、本表層地盤の探査手法の有効性を検討していく必要がある。
P波速度はレイリー波の位相速度に対する感度が低いため、一般的に微動探査での逆解析の際にP波速度はVp-Vs関係式を用いて計算され、全ての層で同じVp-Vs関係式を用いることが多い。しかしながら、地表付近には飽和度が100%でない不飽和帯が存在しており、不飽和帯と飽和帯ではS波速度は同じだがP波速度が異なることが知られている。そこで、本研究では飽和帯と不飽和帯で異なるVp-Vs関係式(Shofy, 2017)を用いた見掛比抵抗と位相速度の同時逆解析の手法を検討した。
まず、擬似観測データを数値実験によって提案手法の有効性を検討した。先行研究と同様に、同時逆解析によって安定してS波速度と比抵抗のモデルが推定できるという結果が得られた。さらに、実観測データに予想されるノイズやデータの不完全性の影響を受けづらいことも確認できた。
つぎに、熊本県KiK-net益城での1次元電気探査と微動探査によって得られた見掛比抵抗とレイリー波位相速度の実観測データに本手法を適用した。その結果、深さ20m程度まではPS検層とほぼ同じS波速度構造が得られた。P波速度の絶対値に関しては差が認められたものの、P波速度の変化の境界はほぼ同じ深さが得られ、地表付近でのP波速度の大きな変化を捉えることが出来た。
今後は地下水位が既知の場所で同時逆解析を行い、本表層地盤の探査手法の有効性を検討していく必要がある。