[SSS14-P17] 岡山県内の震度観測網,K-NET,KiK-netの観測点におけるサイト増幅特性の抽出
キーワード:サイト増幅特性、スペクトル・インバージョン、岡山県
本研究ではスペクトル・インバージョンによって岡山県内の強震観測点におけるサイト特性を抽出した。対象とする観測点は防災科研のK-NET、KiK-net、岡山県震度情報ネットワークシステムの計110点である。使用したイベントは、2013年4月13日淡路島の地震(MJMA6.3)、2014年3月14日伊予灘の地震(MJMA6.2)、2015年2月14日徳島県北部の地震(MJMA4.0)、2016年4月16日熊本地震本震(MJMA7.3)、2016年10月21日鳥取県中部の2地震(14時7分: MJMA6.6; 14時53分: MJMA5.0)、2017年6月14日高知県中部の地震(MJMA4.5)である。スペクトル・インバージョンには川瀬・松尾(2004,地震工学会論文集)の手法を用いた。解析に用いるのは、加速度波形記録のうち水平動(NS成分、EW成分)のフーリエスペクトルのRMS値である。また、スペクトル・インバージョンの基準観測点にはOKYH02(瀬戸)を採用し、野津・長尾(2005,港湾空港技術研究所資料)によるOKYH02の地盤増幅率を仮定した。ただし、解析によって得られた各サイト増幅特性は地震基盤に対する増幅率である。インバージョンの結果得られたサイト増幅特性には以下のような特徴が見られた。岡山市南区浦安や倉敷市玉島阿賀崎などの南部の平野地域では卓越周波数が1 Hz以下と低く、増幅率も比較的大きい傾向にあった。これは干拓地や海岸低地が広がっていることが原因と考えられる。北部の真庭市蒜山上福田・下福田でも1 Hz以下の卓越周波数と大きな増幅率が見られた。これは蒜山高原の軟弱な珪藻土層の影響によるものと考えられる。新見市や高梁市、吉備中央町などの中央部から北部の山間部の観測点では、明瞭なピークを持たず比較的小さな増幅率を示す観測点が見られた。これらの観測点は吉備高原に位置しており、硬質な地盤を反映していると考えられる。同じ吉備高原に位置する観測点の中にも1~2 Hz付近にピークを持つ観測点が見られたが、これらは山間の谷底に位置しており堆積物の影響を受けていると考えられる。さらに畝岡・他(2017,JpGU)による熊本地震本震の強震動波形から計算したH/Vスペクトル比と比較したところ、卓越周波数は概ね対応した。
謝辞:防災科学技術研究所のK-NETとKiK-net、岡山県震度情報ネットワークシステムで得られた強震動波形記録を使用しました。
謝辞:防災科学技術研究所のK-NETとKiK-net、岡山県震度情報ネットワークシステムで得られた強震動波形記録を使用しました。