日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] Eveningポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS15] 地震発生の物理・断層のレオロジー

2018年5月21日(月) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

コンビーナ:向吉 秀樹(島根大学大学院総合理工学研究科地球資源環境学領域)、谷川 亘(国立研究開発法人海洋研究開発機構高知コア研究所)、松澤 孝紀(国立研究開発法人 防災科学技術研究所、共同)、吉田 圭佑(東北大学理学研究科附属地震噴火予知研究観測センター)

[SSS15-P12] 3次元不均質構造モデルを用いた2016年大分県由布で発生した地震のCMTインバージョン

*小割 啓史1小松 正直1竹中 博士1岡元 太郎2中村 武史3 (1.岡山大学、2.東京工業大学、3.防災科学技術研究所)

キーワード:モーメントテンソル、CMTインバージョン、大分県

2016年4月16日1時25分に熊本県を震源とするMJMA7.3の熊本地震が発生し,約32秒後に大分県の由布を震源とするMJMA5.7地震を誘発した。本研究では,この誘発地震の余震と考えられる4つのイベント:4月16日7時11分(MJMA5.4),同日8時27分(MJMA3.7),同日23時26分(MJMA3.6),4月29日15時9分(MJMA4.5)の強震波形記録にCMTインバージョンを適用し,地震の位置,規模,震源メカニズムを推定する。インバージョンにはOkamoto et al.(2017)のコード,グリーン関数の計算には陸上・海底地形を考慮できるNakamura et al.(2012)の3次元差分法コードを用いる。このとき3次元構造モデルには,地震基盤より上は地形とともに最新の3次元地盤構造モデル(吉見・他,2017),地震基盤より下は地震調査研究推進本部の全国1次地下構造モデル(暫定版)を使用する。本研究で使用した波形データは,気象庁の震度観測計(2点)と防災科学技術研究所のK-NETとKiK-netの観測点(計4点)の加速度波形(3成分×6観測点)を積分した速度波形で,帯域は周期10秒から30秒である。以下,インバージョンの結果の例として,4月16日7時11分のMJMA5.4のイベントの結果を記す。セントロイドの位置は,気象庁一元化震源の震央位置より北方向約1 kmで,海水準からの深さ1 km(地表面からの深さ2.4 km)と求まった。地震の規模はMW5.1,断層パラメータは(余震分布を考慮して1つの節面を選ぶと)走向 217.0˚,傾斜角 88.8˚,すべり角 -109.4˚と推定された。セントロイドは由布岳の直下に位置し,その深さは気象庁一元化震源(5.7 km),気象庁CMT(10 km),F-net CMT(5 km)と比較して浅い。この地域は火山の影響で地震発生層の下限が非常に浅いと考えられている(Matsumoto et al.,2016)。発表ではこの他の3イベントの結果も示し,これらの地震におけるセントロイドの位置,震源メカニズム,及びこの周辺の断層分布などを基に誘発地震についても議論する。
 謝辞:本研究には気象庁,防災科学技術研究所の強震記録を使用させていただきました。記して感謝いたします。