[SSS15-P14] トンガ・ケルマディック海溝で発生するプレート境界型地震と潮汐との関係(その3)
キーワード:固体地球潮汐、海洋潮汐荷重効果、トンガ・ケルマディック海溝
トンガ・ケルマディック海溝沿いのプレート境界型地震と潮汐との関係について,これまでは潮汐に起因し,地震発生に影響すると考えられる力の指標(ここでは潮汐指標と呼ぶ)の位相角に注目した解析を行ってきた[弘瀬・他, 2015, JpGU; 2017, CSEP-Japan].それによれば,潮汐指標が極大を示す時間帯で地震が発生する傾向にあることがわかった.しかし,極大値よりも大きな指標が現れる時期が長期間にわたる場合もしばしば起こりうる.このことを考慮すると,位相角に注目するよりも潮汐指標の値自体に注目した方が物理的には地震発生との関連性を解釈しやすい.
そこで今回は,潮汐指標の値自体に注目した解析を行った.解析対象領域は地震活動が比較的活発なトンガ・ケルマディック海溝沿いの地域とし,GCMT解のデータを用いてプレート境界型地震661個(南緯15-35°,1977-2016年,Mw5.5以上,深さ70 km以浅,走向150-230°,傾斜角0-90°,すべり角55-125°)を抽出した.震源における理論潮汐応答は,固体地球潮汐と海洋潮汐荷重効果の両方を考慮し,潮汐指標として体積歪,断層面上のせん断応力,法線応力,及びΔCFF(見掛けの摩擦係数は0.1, 0.4, 0.7)の6成分を解析対象とした.体積歪及び法線応力については膨張・拡張を正,収縮・圧縮を負とした.せん断応力及びΔCFFについては断層すべりを促進する方向を正,抑制する方向を負とした.
地震発生時の潮汐指標値の頻度分布とバックグラウンドの潮汐指標値の出現確率分布(各地震の発生前後183日間の指標変化の15分値からなる)とを比較した結果,いずれの成分も正の符号で地震が選択的に起きやすく,負で起きにくい傾向にあり,特に絶対値が大きいほどその傾向が顕著であることがわかった.さらに,領域を南北方向に緯度5°毎で4つに分けて同様の解析を行ったところ,南緯20-30°では潮汐のトリガー効果が顕著であり,南緯30-35°ではその傾向が弱くなることがわかった.これはスラブベンディングの曲率に依存した流体の存在[Nishikawa & Ide, 2015, GRL]と関係があるかもしれないが,南緯26°付近から沈み込んでいるルイビル海山列[Scholz & Small, 1997, Geology]とは関係がなさそうである.一方,南緯15-20°では逆センスを示した.この理由については不明である.
そこで今回は,潮汐指標の値自体に注目した解析を行った.解析対象領域は地震活動が比較的活発なトンガ・ケルマディック海溝沿いの地域とし,GCMT解のデータを用いてプレート境界型地震661個(南緯15-35°,1977-2016年,Mw5.5以上,深さ70 km以浅,走向150-230°,傾斜角0-90°,すべり角55-125°)を抽出した.震源における理論潮汐応答は,固体地球潮汐と海洋潮汐荷重効果の両方を考慮し,潮汐指標として体積歪,断層面上のせん断応力,法線応力,及びΔCFF(見掛けの摩擦係数は0.1, 0.4, 0.7)の6成分を解析対象とした.体積歪及び法線応力については膨張・拡張を正,収縮・圧縮を負とした.せん断応力及びΔCFFについては断層すべりを促進する方向を正,抑制する方向を負とした.
地震発生時の潮汐指標値の頻度分布とバックグラウンドの潮汐指標値の出現確率分布(各地震の発生前後183日間の指標変化の15分値からなる)とを比較した結果,いずれの成分も正の符号で地震が選択的に起きやすく,負で起きにくい傾向にあり,特に絶対値が大きいほどその傾向が顕著であることがわかった.さらに,領域を南北方向に緯度5°毎で4つに分けて同様の解析を行ったところ,南緯20-30°では潮汐のトリガー効果が顕著であり,南緯30-35°ではその傾向が弱くなることがわかった.これはスラブベンディングの曲率に依存した流体の存在[Nishikawa & Ide, 2015, GRL]と関係があるかもしれないが,南緯26°付近から沈み込んでいるルイビル海山列[Scholz & Small, 1997, Geology]とは関係がなさそうである.一方,南緯15-20°では逆センスを示した.この理由については不明である.