日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[EJ] Eveningポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-TT 計測技術・研究手法

[S-TT49] 空中からの地球計測とモニタリング

2018年5月21日(月) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

コンビーナ:楠本 成寿(富山大学大学院理工学研究部(理学))、大熊 茂雄(産業技術総合研究所地質情報研究部門)、小山 崇夫(東京大学地震研究所、共同)、光畑 裕司(独立行政法人 産業技術総合研究所)

[STT49-P02] 無人航空機(ドローン)を利用した空中物理探査技術の実用化

★招待講演

*結城 洋一1城森 明2西澤 幸康1前島 正道1平田 諒次1プラダン オム1松井 雅士1高瀬 尚人1 (1.応用地質株式会社、2.有限会社 ネオサイエ)

キーワード:ドローン、空中物理探査、空中電磁探査、空中放射線モニタリング

無人航空機にはヘリコプター、飛行機、カイト、気球など、さまざまな種類があり、国内では写真撮影や観 測業務、農業用等に使用されてきた。物理探査についても、産業用無人ヘリコプターを用いた地上ソース型空中電磁探査を開発、実用化したが、産業用無人ヘリコプターの運用が終了したため、現在は実施できない。

 ドローンの運用では、プログラム飛行ができる飛行機や産業用無人ヘリコプターが以前から使われている。自律航行型産業用無人ヘリコプターは東日本大震災以降、東京電力福島第一原子力発電所事故による放射線放出の影響を評価するモニタリングで使われており、現在も継続的にモニタリングが行われている。使用する産業用無人ヘリコプター(以下無人ヘリコプター)の性能は、最大ペイロード10kg、飛行時間90分、飛行速度は最大72kmで、最大進出距離は3~5kmである。目視外の運用も可能であるが、現在は目視できる範囲で運用が行われている。この無人ヘリコプターは放射線モニタリング以外にも利用が可能で、物理探査では空中磁気探査、空中熱赤外線撮影が実施可能である。

 最近は高性能で小型のマルチコプターが低価格で利用できるようになってきた。マルチコプターの性能向上と低価格化は目覚ましいものがあり、写真撮影や航空測量、レーザー測量などが盛んに行われるようになった。物理探査の分野でも、マルチコプターを使った物理探査が行われるようになってきた。ドローンの機体性能に制限があるため、アクティブな探査には制限があるが、パッシブな探査は測定装置の軽量化を図れば実施可能である。これまで空中物理探査は航空機のチャーター料が高くイニシャルコストのウェイトが高いため、狭い範囲の探査には適用されにくかった。しかし、低価格のマルチコプターが手軽に利用できるようになったため、空中物理探査も狭い範囲を手軽に調査できる機会が増えてくると予想される。
 本発表では、マルチコプターを使った地上ソース型空中電磁探査技術と放射線モニタリング技術、無人ヘリコプターを使った磁気探査や熱赤外線映像撮影などの物理探査技術を紹介する。マルチコプターはバッテリーの容量の制限から、1回当たりの測定時間は15分程度であるが、産業用無人ヘリコプターは1時間の飛行ができる。ペイロードもマルチコプターは2~3km程度であるが、産業用無人ヘリコプターは10kgである。調査する面積と搭載する測定装置の選択により、使用するドローンを選定して探査を行う。ドローンの技術革新が進んでいる現在、これを利用することにより測定技術の発展と進化が可能である。