[STT50-P07] 基盤強震観測網(KiK-net)強震計の設置方位の推定
キーワード:KiK-net、設置方位
防災科学技術研究所の基盤強震観測網(KiK-net)は、地中・地表の強震計がペアで設置されているが、その設置方位にはずれがある場合がある(例えば、加藤ほか, 2001; 2002)。加藤ほか(2001, 2002)や前田ほか(2005)は、地中と地表の両方に設置された強震計の波形を回転させることにより、相互相関が最大となる回転角を求め、ある地域の強震計の設置方位を推定した。これらはKiK-net運用開始から10年以内に実施されたものであり、解析対象となる地震が少ない上、九州地方や四国・中国地方など地域を限定しておこなわれた。本研究は解析対象地震を増加させ、できる限り多くの観測点について、地中と地表の強震計方位について推定をおこなった。
解析対象とした地震は、S/Nが低い記録が混入しづらくするためにマグニチュード6.0以上とし、活動の高い地域の地震に偏らないように配慮した。地中と地表の観測点位置の差が無視できる程度にするために、震央距離が50km以上の観測点のみを用いることとした。一方、震央距離の上限は、S/Nを考慮し、マグニチュードが6.0~6.4の場合は150km、マグニチュードが6.5~7.0の場合は300km、マグニチュードが7.1以上の場合は500kmとした。ただし、S/Nの震央距離の依存性が高くないと考えられる深発地震については上限震央距離を定めずに解析に用いた。解析に用いる波形は、水平動2成分のS波相当部分とし、地中-地表間で波が受ける影響を無視できるようにするために0.25Hzの6次のバターワース型ローパス・フィルターを施したものとした。また設置方位の推定に関して、従来の振幅位相相関法では最大相関を示すピークがなだらかになるため、そのあいまいさを回避することを試みた。具体的には、方位の時刻歴をそろえることを重視し、振幅で重みをつけた方位差の二乗総和を最小にする手法と位相限定相関法を用いて設置方位を推定した。
3つ以上の地震による波形記録が得られなかった観測点についてはその推定結果の信頼度が評価できないと考え、信頼度が評価できていない結果として扱うこととした。また、地中の強震計が地表より、1300m以上深く埋まっている場合は、表層地盤による影響が無視できないほど大きく、ローパス・フィルターを施しても地中・地表の波形記録ペアの相関が高く求まらなかったため、設置方位の推定をおこなうことはできなかった。
解析対象とした地震は、S/Nが低い記録が混入しづらくするためにマグニチュード6.0以上とし、活動の高い地域の地震に偏らないように配慮した。地中と地表の観測点位置の差が無視できる程度にするために、震央距離が50km以上の観測点のみを用いることとした。一方、震央距離の上限は、S/Nを考慮し、マグニチュードが6.0~6.4の場合は150km、マグニチュードが6.5~7.0の場合は300km、マグニチュードが7.1以上の場合は500kmとした。ただし、S/Nの震央距離の依存性が高くないと考えられる深発地震については上限震央距離を定めずに解析に用いた。解析に用いる波形は、水平動2成分のS波相当部分とし、地中-地表間で波が受ける影響を無視できるようにするために0.25Hzの6次のバターワース型ローパス・フィルターを施したものとした。また設置方位の推定に関して、従来の振幅位相相関法では最大相関を示すピークがなだらかになるため、そのあいまいさを回避することを試みた。具体的には、方位の時刻歴をそろえることを重視し、振幅で重みをつけた方位差の二乗総和を最小にする手法と位相限定相関法を用いて設置方位を推定した。
3つ以上の地震による波形記録が得られなかった観測点についてはその推定結果の信頼度が評価できないと考え、信頼度が評価できていない結果として扱うこととした。また、地中の強震計が地表より、1300m以上深く埋まっている場合は、表層地盤による影響が無視できないほど大きく、ローパス・フィルターを施しても地中・地表の波形記録ペアの相関が高く求まらなかったため、設置方位の推定をおこなうことはできなかった。