日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] Eveningポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC41] 活動的火山

2018年5月23日(水) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

コンビーナ:前田 裕太(名古屋大学)、三輪 学央(防災科学技術研究所)、青木 陽介(東京大学地震研究所、共同)、西村 太志(東北大学大学院理学研究科地球物理学専攻)

[SVC41-P24] 2017年10月及び11月の白山火山直下の地震活動

*平松 良浩1 (1.金沢大学)

キーワード:群発地震、発震機構

歴史時代に噴火を繰り返した白山の最新噴火は1659年であり、火山灰層序学的研究や歴史資料に記載された過去の火山活動履歴から、白山は近い将来に火山活動を再開する可能性が指摘されている(守屋, 2000)。白山ではこれまで1日に100回を超える地震が何度か発生しており、2005年にはMj4.5の観測史上最大規模の地震が発生している。本研究では、白山直下で発生した2017年10月と11月の群発的な地震活動について報告する。

 白山直下での地震回数は通常数回未満である。気象庁データによると、白山では2017年3月17日に42回、4月20日に48回、10月10日に118回、そして11月29日には370回の地震を観測した。10月と11月の地震についてWINシステム(卜部・束田,1992)を用いて決定した震源位置は、白山山頂(御前峰)から西約0.5–1.0 kmの深さ0–2.0 kmであり、従来活動が見られている範囲である。震源位置を詳細に比較すると、11月の地震は震源の深さが10月の地震より浅いことが確認された。最大規模の地震は11月29日5時6分のM 3.0(Mj 2.8)であった。なお震源決定の際には高橋・ほか(2004)と同じく、速度構造は竹内(1978)の構造、マグニチュードの決定には渡辺の式(渡辺, 1971)を用いた。

規模の大きな地震についてP波極性から発震機構解を求めたところ、東―西から北西―南東を圧力軸とする横ずれ型または逆断層型の解であった。また、これらの地震活動中に火山性微動や低周波地震の発生は確認されなかった。

201年10月と11月の白山直下での群発的な地震活動は、位置、規模、メカニズム解ともに従来の地震活動の範疇ではあるが、1~2年あるいは10年程度の時間スケールで見ると活発化しているようにも見え、今後の地震活動の変化に注意する必要がある。



謝辞:本研究を行うにあたり、京都大学防災研究所、名古屋大学、防災科学技術研究所、気象庁の地震波形データを使用しました。記して感謝いたします。