日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] Eveningポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC43] 火山・火成活動および長期予測

2018年5月20日(日) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

コンビーナ:及川 輝樹(国立研究開発法人産業技術総合研究所)、長谷川 健(茨城大学理学部地球環境科学コース)、三浦 大助(一般財団法人 電力中央研究所 地球工学研究所 地圏科学領域、共同)、下司 信夫(産業技術総合研究所 活断層・火山研究部門)

[SVC43-P09] 中米・エルサルバドル東部パカヤル火山周辺地域に堆積するテフラの主成分化学組成

*北村 繁1 (1.弘前学院大学社会福祉学部)

キーワード:テフロクロノロジー、WDS、主成分化学組成分析

中米・エルサルバドル東部、ウスルタン県には、ベルリン-テカパ(Berlín-Tecapa)火山、パカヤル(Pacayal)火山 、サン・ミゲル(San Miguel)火山など、多数の成層火山が比較的密集して形成されている地域がある。本地域には、最近10万年程度の間に多数の軽石層の堆積が知られ、下位より、ブランカ・ロサ(Blanca Rosa)、フクアパ(Jucuapa)-1~3(数字の小さい方が下位)、ツイン(Twin)、ユニットA(Unit-A)、フクアパ-4、および、パカヤル-1~4と呼ばれる(図1; GENZL, 1995; Kitamura,2017; 北村,2017)。これらの軽石層の対比および他地域の火山起源のテフラとの地球化学的な差異を見出すため、現地で採取した試料を弘前大学理工学部・柴研究室の波長分散型X線マイクロアナライザー(WDS)を用いて、軽石の火山ガラスの化学組成分析を行った結果(図2)、以下のような特徴を見出した。
(1)本地域のテフラは、エルサルバドル西部のコアテペケカルデラ(Coatepeque Caldera)起源のテフラやエルサルバドル中部のイロパンゴカルデラ(Ilopango Caldera)を起源とするテフラとは、主成分組成が異なっており、判別が可能である。
(2)本地域のテフラは、概ね4つのグループに分類できる。多くは、ややK2Oが低くFeOやCaOがやや高いグループIに分類されるが、ツインテフラとユニットAテフラはグループ1よりもややK2Oが高くFeOやCaOが低くなるグループ2に、ブランカ・ロサテフラとフクアパ-4テフラは、よりK2Oが高くFeOやCaOが低くなるグループ3に分類される。パカヤル-1は、K2Oはグループ3のテフラと類似しているものの、FeOの値がやや低く、また、SiO2が高い(グループ4)など、他のテフラと異なる化学組成を示す。