日本地球惑星科学連合2018年大会

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[JJ] Eveningポスター発表

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[U-05] 地球惑星科学における学術出版の将来

2018年5月22日(火) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

コンビーナ:川幡 穂高(東京大学 大気海洋研究所)、小田 啓邦(産業技術総合研究所地質情報研究部門)

[U05-P05] 日本鉱物科学会の学術出版への取り組み

*平島 崇男1日本 鉱物科学会 (1.京都大学大学院理学研究科地球惑星科学専攻)

キーワード:日本鉱物科学会、JMSP、岩石鉱物科学

2007年9月22日に旧「日本岩石鉱物鉱床学会」と旧「日本鉱物学会」統合合併して「日本鉱物科学会」となり,2016年9月1日に一般社団法人日本鉱物科学会となりました。当会では,2000年4月より「日本岩石鉱物鉱床学会」が発行していた和英混合誌「岩鉱」と, 「日本鉱物学会」が発行していた和文誌「鉱物学雑誌」と英文誌「Mineralogical Journal」の3雑誌を統合し,現在では和文誌「岩石鉱物科学」と英文誌「Journal of Mineralogical and Petrological Sciences(JMPS)」の2雑誌を発刊しています。「岩石鉱物科学」は旧「日本岩石鉱物鉱床学会」発行の「岩鉱」の和文論文と旧「鉱物学会」発行の「鉱物学雑誌」を継承しておりJMPSは「岩鉱」の英文論文と「Mineralogical Journal」を継承しています。

 [岩石鉱物科学」は,今までの旧「岩鉱」と旧「鉱物学雑誌」の取り扱う範囲を基礎におき,それを引き継ぐとともに,さらに火山学,鉱床学,隕石学,地球化学,環境科学, 有機地球化学,無機材料科学をはじめ,広く地球惑星物質科学全般をも網羅することを目指して発刊している国内誌です。そこにもりこまれる内容によっては今後の岩石鉱物科学のあり方にも影響を及ぼすだろうことも期待しております。

Journal of Mineralogical and Petrological Sciences (JMPS)は,鉱物科学,岩石科学,惑星物質科学ならびにこれらに密接に関連する諸科学の進歩と普及を図ることを目的として刊行されています。これに加え本誌は,当該学術分野の日本国内における最新の成果を国際的に発信し,また国際的な研究交流の場を日本から提供することも目指しています。近年,惑星・地球科学関連諸分野やマテリアル・サイエンス,機器分析技術等の飛躍的発展に伴い,鉱物科学・岩石科学,惑星物質科学と関連諸分野における成果の増加・質的な向上が目覚ましい中,本誌の継続的な刊行は,諸学問分野の更なる発展に資するとともに,より広い視点における今後の新学術領域の開拓,学際的な領域の発展,そして新たな国際交流に繋がるものと考えます。

JMPSの編集方針は,鉱物科学,岩石科学,惑星物質科学とそれらに関連した諸分野,特に惑星・地球科学関連諸分野やマテリアル・サイエンス,機器分析技術等に関する質の高い原著論文・総説・短報を掲載すること,それに加え,これらの論文は,未発表のオリジナルな内容を持ち,一定の国際的水準に達していることを受理の条件としている。

刊行物の内容は,鉱物科学,岩石科学,惑星物質科学およびそれらに関連した諸分野と,幅広く天然物質および合成物質の物質科学に関係した分野を網羅している。様々なシンポジウムや研究会の成果に基づく特集号の企画も積極的に取り組んで行く方針であり,こうした刊行活動を通じて世界とアジアにおける岩石・鉱物科学の発展を目指している。

JMPSはJ-Stageのサービスを活用して発行しています。このサービスを活用するためには、年間50件程度の投稿数が求められています。投稿数を増やす為の方策として、春の連合大会と秋の年会での発表講演を対象に迅速な出版を約束したLetter原稿の創設や、ホットな話題に特化した特集号の企画などを行ってきました。これらの施策により、これまで平均ページ数60ページで年6回の発行を続けることが出来ています。しかし、学会統合以降の会員数の連続的な減少と慢性的な原稿不足の問題は依然として残っています。さらに、インパクトファクターの低迷も悩みの一つです。鉱物科学系の国際誌ではAmerican Mineralogistは大きなIFを堅持していますが、European Journal of MineralogyのIFは1点台というのが現状です。JMPSでは新産鉱物や地域地質の記載が重要なジャンルの一つです。これらの原稿は新知見を公表することに重要な意味があり、それら全てが短期間に引用されるとは限らず、現行のIFの制度とは別の時間尺度での評価も必要と考えられます。