日本地球惑星科学連合2018年大会

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[JJ] Eveningポスター発表

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[U-08] 地球惑星科学分野における将来計画とロードマップ

2018年5月21日(月) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

コンビーナ:藤井 良一(情報?システム研究機構)、春山 成子(三重大学大学院生物資源学研究科共生環境学専攻)、田近 英一(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻、共同)、川幡 穂高(東京大学 大気海洋研究所)

[U08-P02] 火星における宇宙天気・宇宙気候探査計画

*関 華奈子1山崎 敦2寺田 直樹3松岡 彩子2中川 広務3横田 勝一郎4笠原 慧1斎藤 義文2坂野井 健3今村 剛5笠羽 康正3塩谷 圭吾2二穴 喜文6熊本 篤志3臼井 寛裕7前澤 裕之8笠井 康子9佐川 英夫10田口 真11三好 由純12原 拓也13黒田 剛史9堺 正太朗1藤田 和央14佐々木 晶4火星宇宙天気・ 宇宙気候探査検討チーム (1.東京大学大学院理学系研究科、2.JAXA宇宙科学研究所、3.東北大学大学院理学研究科、4.大阪大学大学院理学研究科、5.東京大学大学院新領域創成科学研究科、6.スウェーデン国立宇宙空間物理学研究所、7.東京工業大学地球生命研究所、8.大阪府立大学、9.情報通信研究機構、10.京都産業大学理学部、11.立教大学理学部、12.名古屋大学宇宙地球環境研究所、13.カリフォルニア大学バークレー校宇宙科学研究所、14.JAXA研究開発本部)

キーワード:火星、周回探査、ハビタブル惑星、気候変動、大気散逸、放射線環境

地球型惑星が、地表に安定に水が存在するハビタブルな環境を保持できる条件は何か。この問いを答えるためには、その惑星がどのような大気を持つかを理解することが不可欠である。ハビタブル惑星研究において、火星は特に重要な位置を占める。なぜならば、(1)火星は太古にハビタブルな環境を持ち、その後、それを失ったという大規模な気候変動の歴史を持つ惑星であり、(2)この気候変動に重要な役割を果たしたと考えられている非磁化惑星からの大気散逸が現在も進行中、 かつ、(3)弱い風化作用や火星隕石、着陸探査のために過去40億年近くにわたる表層環境変遷の記録(痕跡)を数多く得る事ができる、という諸条件が満たされているからである。また、火星は近未来の有人探査の対象であり、火星圏環境の理解は多角的な意義を持つ。
 これまでに、NASAの火星探査機MAVEN等によって火星圏環境について多くの基本的描像が得られつつある。特に、惑星間コロナ質量放出(ICME)時の大気散逸率の増加や太陽高エネルギー粒子(SEP)によって引き起こされるオーロラ、残留磁化による誘導磁気圏の非対称、水素散逸率の短期変動などの、最近の探査による発見は、火星周辺の宇宙環境や大気散逸率に太陽変動・固有磁場・下層大気や表層からの水輸送が大きな影響を与えることを示した。一方で、一機によるその場観測の限界から、グローバルな宇宙環境・大気散逸の様相の把握や、太陽の激しい変動への応答の理解が、過去への演繹に向けた喫緊の課題となっている。
 本計画は、こうした火星宇宙天気・宇宙気候に関する課題と新発見を踏まえ、ハビタブル惑星進化の理解に向けて、火星で過去40億年にわたり、大気散逸がどのように変遷してきたのか、時系列で推定可能にすることで、宇宙への大気散逸が気候変動に果たした役割を理解することを目的にした、我が国主導の火星探査計画となっている。具体的には、3つの達成目標(1. 火星圏の太陽風・太陽放射変動への瞬時応答を明らかにし、宇宙への大気散逸が気候変動に果たした役割を理解する、2. 火星オーロラを用いて火星周辺の宇宙環境を可視化し、南北半球の比較により、固有磁場が大気散逸に与える影響を理解する、3. 火星表層から上層大気までの水循環を測定することで、酸素散逸への水の寄与を推定する[オプション]。)を設定し、そのために、8つの観測項目(磁場観測、高エネルギー粒子観測、オーロラ撮像、太陽風・太陽放射観測、電離大気流出観測、中性大気流出観測[一部オプション]、大気上下結合観測[オプション]、地下表層氷・水分布測定[オプション])を実現する。