日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] Eveningポスター発表

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[U-08] 地球惑星科学分野における将来計画とロードマップ

2018年5月21日(月) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

コンビーナ:藤井 良一(情報?システム研究機構)、春山 成子(三重大学大学院生物資源学研究科共生環境学専攻)、田近 英一(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻、共同)、川幡 穂高(東京大学 大気海洋研究所)

[U08-P07] 日本火山学会60周年事業を契機とした現状把握と将来への取り組み

井口 正人2奥村 聡3竹内 晋吾5長谷川 健4鈴木 雄治郎1中村 仁美6、*市原 美恵1 (1.東京大学地震研究所、2.京都大学防災研究所、3.東北大学、4.茨城大学、5.電力中央研究所、6.海洋研究開発機構)

キーワード:火山学、社会、人材育成

日本火山学会は,1955年12月に活動を再開して以来,ほぼ10年ごとに研究・活動の歩みと将来の展望を議論してきた.また,1989-1990年度に,科研費総合研究「日本における火山学の基礎研究のあり方」が実施され,その成果は「火山学の基礎研究(火山特集号1990)」と「火山学の基礎研究の動向(科研費報告書,1991)」としてまとめられ,その後の火山学の進展に多大な影響を与えている.近年,火山学の研究には大きな進展が見られるとともに,社会との関わりも大きく変化してきた.そこで,火山学の現状を再評価するとともに,基礎研究として,また,社会活動としての火山学のあるべき姿およびその実現の方策を再検討する事が必要とされている.日本火山学会では,2016年度に迎えた60周年に向け,火山学とそれを取り巻く研究分野・社会・教育現場の現状と展望に関するレビューを実施し,課題,方策を抽出した.議論は,3つのワーキンググループ(WG)に分かれて行った.
 WG1は,国内外の火山学の動向を,主に学術と大型プロジェクトの観点からレビューした.特に,学術については,日本火山学会60周年特集号「火山学の最新動向と今後の展望」として出版,公開されている.このレビューの結果,地球科学の一分野として,分野,機関,国の境界を越えて,新しい研究分野の開拓を行うためのネットワーク作りが提案されている.更に,日本火山学会2017年秋季大会において,「沈み込み帯の火成活動とダイナミクス~60周年特集号から探る現状と課題~」というセッションが若手研究者を中心に自発的に提案され,マントルダイナミクスから大気圏現象までを包括する火山現象モデルの構築に向けて,第一歩が踏み出された.議論は,本連合大会で開催されるセッション「島弧の火成活動と火山ダイナミクス」(S-VC44)においても,継続して進められる予定である.
 WG2は,火山学と社会との関わりに焦点を当て,火山防災・学校教育・ジオパーク・情報発信の分野において日本火山学会が行ってきた活動をまとめた.そして,火山学に関わる社会的な課題を解決していくためには,学術的研究に主に従事する学会員と,社会的実践に主に従事する学会員の間の議論の場を持つ仕組みを作ることが重要であると提案した.日本火山学会は,学術と社会貢献を2本柱として進める意思表示の1つとして,「優秀学術賞」と「普及啓発賞」の二つを新たに立て,2017年度より候補者募集を開始した.
 WG3は,人材育成という視点で,火山学を学ぶ人材をとりまく現状と課題についてレビューし,火山学を学ぶ若手研究者のキャリアパスの問題解決の方策として,官・学・民を横断するような知識・人脈交流の場が重要であると主張した.その実践として,学生,ポスドク研究者,そして大学教員が,火山学に関わる職業についての知識を広げるため,キャリアパスセミナーを開催した.その1つは,日本地球惑星科学連合2015年大会で開催され,火山学のみならず多分野の方々に参加していただいた.
 WG1~3で扱った全ての視点において,分野や立場の異なる人と人との交流が,問題解決と今後の発展のためには重要であるという結論が出された.今後も,日本火山学会および地球惑星科学連合を活用し,その機会を広げていきたい.