[U08-P11] 最前線の水文・水資源学研究~若手世代の考える課題と夢~
キーワード:研究レビュー、若手研究者、水文・水資源学、学際性
水文・水資源学会では,若手研究者間の意見交換や共同研究のため2009年より若手会活動を継続している.本発表では,その活動の一環として同学会の若手研究者12人が,自身の研究内容を中心にその分野の研究レビューと展望や夢を取りまとめた内容を紹介する.対象とする研究分野は,参加者が専門とする大気・水象およびそのデータ解析,降雨流出,環境水文,農業水利であり,水文・水資源学が対象とする多岐にわたる内容となった.まず,各研究者が専門とする分野の内容と自身の研究の位置づけを取りまとめ,その後,それらを比較することで明らかになった今後の水文・水資源学研究を進めるうえでの俯瞰的な視点をまとめた.具体的には,1)応用研究が進む中で基礎研究に求められる課題を浮き彫りにすることがあり,両方の種類の研究が相互作用することが重要である点,2)近年の計算機技術の向上によって数値解析が大規模化する一方,解析の根拠が現地観測にあり,さらに拠り所となる観測値さえも観測精度や空間代表性といった課題を有する点を意識する重要性,3)人工知能技術の台頭によって制御問題の対象範囲が拡大している一方で,人工知能による制御では内部で判断を下すまでの過程が見えないことに注意する必要がある点,4)具体的に研究を進めるうえでの学際的研究の重要性,5)研究が先端的に突き進む中で結果の不確実性や研究のためのデータ整備など多様な種類の研究を評価することの重要性,6)様々な分野の研究推進および研究連携のためのデータや解析・観測・実験技術の共有の重要性,といった共通する問題意識が挙げられた.我々は水文・水資源分野において今後の展望や夢を語るためにはこれらの議論が不可欠であると考えており,本発表では各分野の研究をまとめる中で得られたこれらの視点を共有する.