日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 G (教育・アウトリーチ) » 教育・アウトリーチ

[G-03] 災害を乗り越えるための「総合的防災教育」

2018年5月20日(日) 15:30 〜 17:00 104 (幕張メッセ国際会議場 1F)

コンビーナ:中井 仁(小淵沢総合研究施設)、小森 次郎(帝京平成大学)、林 信太郎(秋田大学大学院教育学研究科)、座長:小森 次郎(帝京平成大学)

16:00 〜 16:15

[G03-03] 「君の名は。」の現実性:自然災害としての天体衝突とその防災

★招待講演

*吉川 真1浦川 聖太郎2奥村 真一郎2 (1.宇宙航空研究開発機構、2.日本スペースガード協会)

キーワード:スペースガード、プラネタリー・ディフェンス、地球接近天体、衝突、防災

小惑星や彗星が地球に衝突すると通常の自然災害とは桁違いな大きな被害を受ける。このような天体の地球衝突問題に対して、1990年代からスペースガードとして、そして最近ではプラネタリー・ディフェンスとして国際的に検討が進められている。地球に衝突する可能性のある天体をNEO(Near Earth Object:地球接近天体)と呼ぶが、2018年2月の時点で18,000個ほど発見されているし、毎年多数のNEOが発見されている。また、国連の宇宙空間平和利用委員会(COPUOS)などでも天体の地球衝突問題が議論されており、国際的なグループ(IAWN : International Asteroid Warning Network、SMPAG : Space Missions Planning Advisory Groupなど)が活動を行っている。さらには、天体衝突という問題を一般の人にも広く知ってもらおうというAsteroid Dayという活動も活発になってきた。このような状況の中、日本では「君の名は。」というアニメーション映画が公開され話題となった。この映画では、彗星の地球衝突という出来事が重要なポイントになっているが、本講演ではこの映画に描かれている天体の地球衝突に関連した事項を、実際に想定されることと比較検討してみることにする。その目的は、この映画の科学的検証にあるのではなく、この映画を通して天体の地球衝突という問題を正しく理解してもらおうということにある。実際、「君の名は。」に描かれた天体の地球衝突に関係する事項には、地球衝突天体の軌道、衝突時の物理的被害、衝突時の対策(避難や情報伝達など)のように、実際の天体の地球衝突に対して議論されているいくつかの項目に対応したものがある。本講演では、「君の名は。」を中心に天体衝突をモチーフとした他の映画も含めて、映画を利用した天体の地球衝突に関する防災教育を考えてみたい。