16:30 〜 16:45
[G03-05] ポップコーン爆発実験ー突発的な水蒸気噴火のための防災教育用素材ー
キーワード:防災教育、水蒸気噴火、ポップコーン、キッチン火山実験
水蒸気噴火は,もっともよく発生する噴火である。2018年1月の草津白根山のように,水蒸気噴火は突然発生する。したがって,非噴火時の防災教育が重要である。水蒸気噴火は爆発をともなうこと,噴石が飛んでくることを意識させ,緊急時に臨機応変に対応できるようにする必要がある。
水蒸気噴火のメカニズム:水蒸気噴火は地下浅所に存在する加圧された熱水だまりの急激な減圧によって,熱水が急激に水蒸気になることによって発生する噴火である(及川,2014)。加圧された熱水は100℃よりも高温の状態をとりうる。例えば,10気圧の条件では約180℃で,水と水蒸気が平衡共存する。浅所への移動や熱水のだまりの壁の破壊などによって,このような高温の熱水が減圧すると,熱水は加熱状態になり,急激に沸騰が起き,爆発に至る(谷口,1996,北川,1980)。
水蒸気噴火の災害としての特性:水蒸気噴火の爆発は火山体の浅所で起こるため,周辺の岩石が高速で放出され噴石となって飛来する。御嶽山2014年噴火の場合,噴石の放出速度は145から185 m/s,着地速度は83から85m/sと推定されている(Tsunematsu et al., 2014)。このような高速の噴石により,御嶽山2014年噴火では63名の死者・行方不明者が,草津白根山の2018年噴火では1名の死者が発生した。また,水蒸気噴火を発生させるのは熱水であり,マグマよりもその移動を捉えにくいという特性がある。
水蒸気噴火と噴火警戒レベル:御嶽山2014年噴火と草津白根山2018年噴火では,気象庁の噴火警戒レベル1の状態で噴火が発生し,その後で噴火警戒レベルがあげられた。
水蒸気噴火からの緊急避難:水蒸気噴火についての気象庁のこの2回の噴火の見逃しの実績に鑑みて今後も水蒸気噴火の見逃しは生じうる。したがって,水蒸気噴火からの緊急避難の方法を教える防災教育カリキュラムを作る必要がある。
水蒸気噴火の爆発とポップコーン爆発の類似性:ポップコーンの爆発は水蒸気噴火のそれと同じメカニズムで発生する。コーンを加熱すると,コーン内部の水の一部が水蒸気となるが,ポップコーンの元のコーンの果皮は丈夫であり,内部の温度圧力は180℃,10bar(=およそ10気圧)にまであがる。この圧力で果皮はやぶれ,コーン内部は急激に減圧し,胚乳内の水が急激に気化しポップコーンができあがる(Virot & Ponomarenko, 2015)。圧力容器がやぶれ過熱水が爆発するという点では,ポップコーンと水蒸気噴火の爆発は一致している。しかも,ポップコーン一粒の中に含まれる水は,0.02gであり,この実験は安全である。また,ポップコーンは児童生徒にとって魅力的であり,実験材料の意外性との相乗効果で教育効果が上がる可能性が高い。
防災教育カリキュラムの流れ:爆発に伴う噴石が飛んでくることを意識させ,さらに噴石からの緊急避難の方法を学ぶための防災教育カリキュラムを開発した。第1にポップコーンをホットプレートでつくり,熱水の爆発のエネルギーを感じさせる。この時,実際の噴火よりもはるかにスケールが違う爆発(おそらく10億分の1かそれ以下)なので,「象とアリの体重」のちがいが約10億倍であることを利用して解説を行う。第2に弾道軌道を描いて飛んでくる噴石を理解させるために紙粘土を使った噴石実験を行う(林,2014)。その上で,第3に緊急避難の方法をアクティブ・ラーニングの手法を用いて考えさせる。
授業実践:2018年2月9日に男鹿半島・大潟ジオパーク内のH小学校で本カリキュラムを試行した。その結果については現在解析中であり,発表時に述べる。
水蒸気噴火のメカニズム:水蒸気噴火は地下浅所に存在する加圧された熱水だまりの急激な減圧によって,熱水が急激に水蒸気になることによって発生する噴火である(及川,2014)。加圧された熱水は100℃よりも高温の状態をとりうる。例えば,10気圧の条件では約180℃で,水と水蒸気が平衡共存する。浅所への移動や熱水のだまりの壁の破壊などによって,このような高温の熱水が減圧すると,熱水は加熱状態になり,急激に沸騰が起き,爆発に至る(谷口,1996,北川,1980)。
水蒸気噴火の災害としての特性:水蒸気噴火の爆発は火山体の浅所で起こるため,周辺の岩石が高速で放出され噴石となって飛来する。御嶽山2014年噴火の場合,噴石の放出速度は145から185 m/s,着地速度は83から85m/sと推定されている(Tsunematsu et al., 2014)。このような高速の噴石により,御嶽山2014年噴火では63名の死者・行方不明者が,草津白根山の2018年噴火では1名の死者が発生した。また,水蒸気噴火を発生させるのは熱水であり,マグマよりもその移動を捉えにくいという特性がある。
水蒸気噴火と噴火警戒レベル:御嶽山2014年噴火と草津白根山2018年噴火では,気象庁の噴火警戒レベル1の状態で噴火が発生し,その後で噴火警戒レベルがあげられた。
水蒸気噴火からの緊急避難:水蒸気噴火についての気象庁のこの2回の噴火の見逃しの実績に鑑みて今後も水蒸気噴火の見逃しは生じうる。したがって,水蒸気噴火からの緊急避難の方法を教える防災教育カリキュラムを作る必要がある。
水蒸気噴火の爆発とポップコーン爆発の類似性:ポップコーンの爆発は水蒸気噴火のそれと同じメカニズムで発生する。コーンを加熱すると,コーン内部の水の一部が水蒸気となるが,ポップコーンの元のコーンの果皮は丈夫であり,内部の温度圧力は180℃,10bar(=およそ10気圧)にまであがる。この圧力で果皮はやぶれ,コーン内部は急激に減圧し,胚乳内の水が急激に気化しポップコーンができあがる(Virot & Ponomarenko, 2015)。圧力容器がやぶれ過熱水が爆発するという点では,ポップコーンと水蒸気噴火の爆発は一致している。しかも,ポップコーン一粒の中に含まれる水は,0.02gであり,この実験は安全である。また,ポップコーンは児童生徒にとって魅力的であり,実験材料の意外性との相乗効果で教育効果が上がる可能性が高い。
防災教育カリキュラムの流れ:爆発に伴う噴石が飛んでくることを意識させ,さらに噴石からの緊急避難の方法を学ぶための防災教育カリキュラムを開発した。第1にポップコーンをホットプレートでつくり,熱水の爆発のエネルギーを感じさせる。この時,実際の噴火よりもはるかにスケールが違う爆発(おそらく10億分の1かそれ以下)なので,「象とアリの体重」のちがいが約10億倍であることを利用して解説を行う。第2に弾道軌道を描いて飛んでくる噴石を理解させるために紙粘土を使った噴石実験を行う(林,2014)。その上で,第3に緊急避難の方法をアクティブ・ラーニングの手法を用いて考えさせる。
授業実践:2018年2月9日に男鹿半島・大潟ジオパーク内のH小学校で本カリキュラムを試行した。その結果については現在解析中であり,発表時に述べる。