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[G03-06] 糸魚川-静岡構造線に沿う市町村の防災と教育 - 住民の視点から
キーワード:防災教育、糸魚川-静岡構造線、防災対応、自治体
防災には多くの分野が関係するが、おおまかにまとめると、それらは主として四つの領域に分けられる。「災害のメカニズム」と「国・行政の役割」、「防災工学・技術」、「地域防災」である。さいがいは地域の自然環境によって異なるため、学校教育等で防災を扱う時、教師は、その地域における自然災害の特徴を把握しておかなければならない。しかし、同時に、災害規模や被災後の復旧・復興過程には、地域の社会的条件が大きく影響する。従って、その地域における行政や、地域コミュニティの有り様をも把握しておかなければ、実践的な防災教育とはなり得ない。(しかし、そのような地域性を理解したり、自ら発見したりするためには、その前に地域に依存しない防災に関わる共通の概念や理念を身に付けておく必要があることに注意しなければならない。)著者は、そのような防災教育の特性を具体的に示すために、糸魚川-静岡構造線(南部)に沿った市町村(松本市、塩尻市、岡谷市、下諏訪町、諏訪市、茅野市、原村、富士見町、北杜市、韮崎市、南アルプス市)を対象に、特に住民の視点から見た行政の防災対応を調査した。その結果、長大な活断層の直上に位置するという共通の自然条件をもった自治体ではあるが、防災対応には大小の違いがあることが分かった。本稿では、調査結果を基に、行政の防災対応の違いが防災教育に与えうる影響を考察する。