日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] ポスター発表

セッション記号 G (教育・アウトリーチ) » 教育・アウトリーチ

[G-03] 災害を乗り越えるための「総合的防災教育」

2018年5月20日(日) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

コンビーナ:中井 仁(小淵沢総合研究施設)、小森 次郎(帝京平成大学)、林 信太郎(秋田大学大学院教育学研究科)

[G03-P01] 歴史地震記録と教訓を後世へ伝えるための徳島県の地震津波碑の3次元デジタル化の取り組み

*谷川 亘1大橋 育順2内山 庄一郎3浦本 豪一郎4山品 匡史4鈴木 比奈子3 (1.国立研究開発法人海洋研究開発機構高知コア研究所、2.徳島県教育委員会、3.国立研究開発法人防災科学技術研究所、4.高知大学)

キーワード:地震津波碑、徳島県、デジタルアーカイブ、南海トラフ地震、Photoscan

徳島県では県教育委員会の主導のもと地震津波碑の再調査が実施され、39基の碑が確認できた(徳島県教育委員会, 2017, 南海地震徳島県地震津波碑調査報告書)。その中で、登録記念物としての目的・条件に合致した19基について、2017年10月に「南海地震徳島県地震津波碑」として国の登録記念物に登録された。なお、地震津波碑の登録記念物への登録は全国初のことである。地震津波碑は過去の被害状況や教訓が刻まれ、防災教育活動への活用が期待される(井若ほか, 2011, 土木学会論文集)。しかしながら、徳島県の地震津波碑の約7割について設置場所と碑文解読の補助に対して問題があり、「伝える」機能が低下している(井若ほか, 2011, 土木学会論文集)。「伝える」機能は、案内看板の設置や現代語訳を記したパンフレットの配布などにより補強することができる。一方、インターネットが普及した現在においてはウェブの持つ情報拡散機能や3Dデジタル仮想空間を活用することで、これまでとは異なる発想で「伝える」機能を強化できる可能性がある。また、考古記録のデジタルアーカイブ化は文化財資源の新たな保全方法としても近年注目されている(たとえば野口ほか,2017,文化財の壺)。
そこで、本研究では徳島県内の地震津波碑を対象に地震津波碑の3次元デジタルモデルを作成し、復元した3Dモデルの有用性について評価した。地震津波碑の3次元モデルは過去に作成した高知県内の地震津波碑と同じ方法を採用した(谷川ほか, 2017, 歴史地震)。その結果、9基の地震津波碑と2基の津波到達地点石標の3Dモデルを作成できた。刻まれた文字を発見・判読できるという新発見はなかったが、現場では日影の影響等により判読が困難な文字もモデルでは明瞭に判読することができた。
現在、防災科学技術研究所の提供する「eコミマップ」(http://ecom-plat.jp/)を活用して高知県内の地震津波碑について、位置情報と高知県が提供する南海トラフ地震の想定震度分布と想定津波浸水予測データを統合した石碑データベースの構築を進めている。今後、徳島県の石碑についても高知県内のデータと統合させて、四国地域全体のデータベース化の整備を進めていく。