日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 G (教育・アウトリーチ) » 教育・アウトリーチ

[G-05] 小・中・高等学校,大学の地球惑星科学教育

2018年5月20日(日) 13:45 〜 15:15 102 (幕張メッセ国際会議場 1F)

コンビーナ:畠山 正恒(聖光学院中学高等学校)、座長:畠山 正恒(聖光学院)、丹羽 淑博

13:45 〜 14:00

[G05-01] 地理総合を見据えた中学校の充実した地誌学習について考える

*青木 邦勲1 (1.日本大学豊山高等学校・中学校)

キーワード:地図、地誌

地理総合の必修化が決定され、地理総合の素案が出されてから、新しい授業のあり方について様々な授業研究が報告されるようになった。しかし、これらの報告は全て中学校の地理の学習が全て定着したという前提でなされているものと私は考えている。しかし、この前提は日本の全ての中学校に当てはまらないようである。そこで、中学校の地理の授業において、何を教え、何を理解させ、どのような能力を育てるべきか、つまり地理総合の根底にある中学校の地理における「充実した地誌学習」を行うために取り組んでいることを報告する。

中学生に徹底させるべきことは位置・場所・地域の概念である。世界地図を見て、国がどこにあるのか、日本との位置関係はどうなっているか、国が属する大陸の中における位置関係はどうなっているか、地域を見る視点を調節して各国の位置が生徒の力で指し示すことができるのか、これが一番の課題であると考えている。そのため、授業において地図を開かせる際にすぐに国や地域の拡大図にいくのではなく、常に日本との位置関係を意識しながら国や地域に迫っていく方法が正しいと考えている。

たいていの教科書は自然環境、歴史や文化、産業、地域が抱える課題の順番でページが構成されているが、この順番を縦割りにすると一問一答型の授業に陥ってしまい、用語だけが先行してしまう。様々な特色が相互に関連し合っていることを意識した上で授業を行わないと、生徒は暗記型の思考をし始め、位置や地域などと関連しなくなり、グローバルな視点で地域を理解することが難しくなる。そのため、学習した知識を利用して新しい知識を獲得していき、他の地域に応用させていく授業展開が望ましいと考えている。また、ある地域や国の学習をしている途中で、突然違う地域や国の話をして内容が関連できるかを確認することも必要ではないかと考えている。

以上、地理総合に向けてどのようにして中学校の地誌学習を充実させるべきかを提言する。