日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 G (教育・アウトリーチ) » 教育・アウトリーチ

[G-05] 小・中・高等学校,大学の地球惑星科学教育

2018年5月20日(日) 13:45 〜 15:15 102 (幕張メッセ国際会議場 1F)

コンビーナ:畠山 正恒(聖光学院中学高等学校)、座長:畠山 正恒(聖光学院)、丹羽 淑博

14:00 〜 14:15

[G05-02] 主題図を教科横断的な学習に活用しよう

*栗栖 悠貴1稲澤 容代1 (1.国土地理院)

キーワード:主題図、教科横断的な学習、地理院地図

近年、学校教育課程において重要視されていることに、(1)各教科等の教育内容を総合的に捉えて教育課程を編成する「カリキュラム・マネジメント」(2)高等学校における地理総合の必修化といった「地理教育」があげられる。地理を学習する際に必要不可欠なものこそ地図である。国土地理院では、地理院地図(https://maps.gsi.go.jp/)を利用して国土の基本情報が表現された「一般図」の他、様々な観点から地形を分類および表現した「主題図」を発信している。特に地形を分類した主題図からは、その地域の地形形成過程が読み取れることから、防災対策の基礎資料としても活用されている。例えば、平野の微地形を区分した治水地形分類図から、過去の河川の流路などが読み取れることで土地の潜在的なリスクが把握できる。本発表では、教科横断的な学習を念頭に、主に二つの観点から主題図の活用事例を報告する。

一つ目は、地形を切り口とした教科横断的な主題図の活用である。地理を地形や空間的な位置関係を把握するための手段として活用することで、教科の枠を越えた学習が可能となる。文学分野においては、地形のよくわかる主題図を活用することで作中の風景をイメージし作品に対する理解を深めることが可能となる。また、歴史的な出来事や人間活動について時間軸を通して学ぶ歴史分野においては、地形を分類した主題図を活用することで歴史の舞台がどのような場所であったかを把握することが可能となる。さらに、地形に刻まれた自然災害の痕跡がわかる主題図を活用することで、防災をテーマにした様々な教科の理解を深めることができる。

二つ目は、土地の成り立ちを知り地域を学ぶための主題図の活用である。地域学習を進めるにあたって、土地利用と地形を関連付けると理解を深めることができる。地形がよくわかる主題図や地形を分類した主題図を活用することで、自然の中で地域に根ざした人間活動を深く考察することが可能となる。
有用な情報が込められた主題図を効果的に活用するためには、学習に利用する先生および生徒が容易に利用できることが重要である。国土地理院は、防災対策の基礎資料としての主題図だけでなく、地理教育においても活用できる主題図を引き続き整備し発信することで、地理教育を支援していく。