日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] ポスター発表

セッション記号 G (教育・アウトリーチ) » 教育・アウトリーチ

[G-05] 小・中・高等学校,大学の地球惑星科学教育

2018年5月20日(日) 10:45 〜 12:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

コンビーナ:畠山 正恒(聖光学院中学高等学校)

[G05-P10] 高濃度食塩水を使用した教材用室内実験装置による蛇行河川実験

*棟上 俊二1 (1.福岡教育大学)

キーワード:流水実験、食塩水、蛇行

小学校5年理科の流水の働きの単元では,「流れる水には,土地を侵食したり,石や土などを堆積させたりする働きがあること」を教授するために「人工の流れを作って,実験により確かめることが考えられる」(平成20年度小学校学習指導要領解説理科編)とされている。自然界の河川では中流域から下流域で蛇行する様子を観察する事ができる。しかし小学校に限らずこの蛇行河川を室内実験で再現させることは,実は意外と難しいようである(西森・小西,2017)。河川系の蛇行現象に関しては,水理工学の分野において極めて数多い研究が行われているが,現時点までレビューしてきた文献では淡水を流下させるものしかないようである。そこで本研究では,蛇行水路実験で食塩水を流下させた場合に淡水に比べて違いが生じるか,という全く単純な疑問を出発点として研究を行った。小学生の観察に適した大きさの,巾約0.9×長さ約1.5mの流水実験装置を自作し,天然の海浜砂を敷き詰めて流水実験を行った。勾配は自作での限界と思われる1/200程度とした。約20%近い高濃度の食塩水をポンプで循環させて用いるため,実験装置の設計には従来にはない工夫を講じる必要があった。また,砂の敷き詰め方や共通の木型を用いた初期流路成型など,実験条件の変動を可能な限り低減させた。初期流路は傾斜方向に対して60°をなす流路から傾斜方向へ鈍角に接続する直線状流路により構成した。水道水を流下させたときの最大蛇行角は概ね40°だったが,高濃度食塩水を流下させた場合は最大蛇行角85°に到達する段階があり,形成される流路形態の違いが見いだされた。

西森 拓・小西哲郎(2017):序章 地形現象のモデリングとは,地形現象のモデリング(遠藤徳孝・小西哲郎・西森 拓・水口 毅・柳田達雄 偏),名古屋大学出版会,1 - 9.