日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[EE] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-CG 地球人間圏科学複合領域・一般

[H-CG20] 景観評価の国際比較

2018年5月21日(月) 10:45 〜 12:15 A02 (東京ベイ幕張ホール)

コンビーナ:青木 陽二(放送大学)、座長:劉 淑恵(国立高雄教育大学)、Christoph Ruppurecht(地球環境学研究所)

11:30 〜 11:45

[HCG20-10] 俳句による風景評価ー日米の比較

*青木 陽二1Jambor Kinuko2船矢 深雪3 (1.放送大学、2.国際俳句交流協会、3.函館国際俳句会)

キーワード:俳句、風景評価、日米比較

はじめに

俳句は15世紀日本に生まれ、江戸時代を通じて日本全国に広まった。この俳句が明治の開国によって世界に広まったことは良く知られていることである(内田園生2005)。最初は寺田寅彦(1961)のように、外国人には理解できないと言われたが、多くの人々、高浜虚子やブライスなどによって世界に広まり、現在は世界で20以上の言語50以上の国や地域で俳句は作られ、楽しまれている。外国では人事についての俳句が多いと言われるが、日本では風景を詠むものが多い。水原秋桜子(1948)は俳句と風景について重要であることを述べ、また、多くの俳人が風景を詠みこんでいる。



調査方法

しかしながら、このようなことを科学的に研究する研究者は少ない。そこで、米国ロアノクにあるブルーリッジ俳句会で作られた34の英語の俳句を、日本人一般人15人と米国大学生16人に読ませ。理解の違いについて調べた。



結果

以下のことが分かった。

日本人の理解できる俳句が米国人より少ないのは当然のことであった(図1)。

俳句によって日本人が良く理解できる俳句と米国人の方が良く理解できる俳句があった(図2)。

日本人と米国人に理解の相関を調べると、ほとんど関連がないことが分かった(図3)。

理解を1点、共感を2点として俳句評価の得点を調べると同様な結果が得られた。

日本人の評価は米国人の評価より低い(図4)。

日本人は自然を記述する俳句を好み、米国人は歴史などの文化を好んだ(図5)。

日本人と米国人の評価には相関が得られなかった(図6)。
参考文献
水原秋桜子(1948)俳句になる風景,新思潮社,東京,176頁
寺田寅彦(1961)寺田寅彦全集12,岩波,東京,256頁.
内田園生(2005)世界に広がる俳句,角川,東京,279頁.