[HCG24-P02] 表層堆積物の粒度変化からみた沖永良部島,徳之島,奄美大島周辺の堆積環境
キーワード:粒度、海底写真、表層堆積物
沖縄島北方に位置する与論島,伊平屋島,沖永良部島,徳之島周辺の水深2200 m以浅の海域において,248地点でグラブ採泥器を用いて表層堆積物の採取と,採泥器に取り付けた海底カメラで海底面の撮影を行った.そして,採取された砂質,泥質堆積物を用いて粒度と細粒組成の分析を行った.これら結果を基に,海底表層の底質変化と堆積環境について検討した.島嶼部周辺の約600 m以浅の海域では,露岩や中~巨礫またはサンゴ,貝,コケムシなどの生物性砕屑物を多く含む1φ以下の粗粒堆積物が分布する.沖永良部島,徳之島,奄美大島の西方のトラフ側海域では,水深約600-1000 mでは2~4φの砂質堆積物が分布する.同程度の水深であっても凹地形や,最大水深が1200 m以上の与論海盆や沖永良部海盆では4~7φのシルトが分布する.一方,太平洋側の海域では,同水深における粒度は沖縄トラフ側海域よりも粗い傾向を示す.また,砂粒組成結果は水深が深くなるにつれて浮遊性有孔虫殻の量が増えることを示す.これら結果から,沖縄トラフ側海域の堆積環境は水深増加に伴い水理営力の影響が弱くなり,海盆底には半遠洋堆積物が分布することを示す.また,太平洋側海域は,沖縄トラフ側海域と比較すると開放的な海洋環境であるため,より深い海底まで水理営力が影響していると考えられる.