[H-CG24] 堆積・侵食・地形発達プロセスから読み取る地球表層環境変動

[HCG24-P07] 循環型の粒度分析による海底堆積物形成プロセスの検討

*浦本 豪一郎¹、新井 和乃¹ (1.高知大学海洋コア総合研究センター)

キーワード：粒度分析、海底堆積物

粒度分析は堆積物を構成する鉱物粒子のサイズや形状特性などの様々なパラメーターを簡便かつ短時間に取得できるため，堆積物研究における最も基礎的な試料分析手法として利用されてきている．特に，堆積物の物性，その形成プロセスや堆積環境を明らかにする上で非常に強力な分析手法となる．しかし，近年の研究によって堆積物を構成する粒子の運搬・堆積プロセスの多様性について認識が深まりつつあり，粒度分析によって得られる堆積物そのものの粒度と，堆積物の物性や，堆積物の形成プロセスなどの特徴との対応関係を議論するには，より慎重な検討が必要になっている．特に，細粒砕屑粒子は，粒子同士が集合した鉱物塊を形成することがよく知られているが，通常の粒度分析では鉱物塊のサイズと，その構成鉱物のサイズを区別して分析することができず，こうした堆積物の粒度分析を通して，堆積物特性と堆積プロセスとを総合的に理解するには，分析法そのものを改良する必要がある．
そこで，本研究ではレーザー回折式粒度分析器を用いた粒度分析手法を改良した循環型の粒度分析により，同一の堆積物試料の粒度分析で，堆積物中の鉱物塊のサイズと，鉱物塊を構成する鉱物粒子のサイズを区別して分析する方法を検討したので報告する．こうした分析により，堆積物を構成する鉱物塊とその構成粒子のサイズを区別して分析することで，堆積物特性と堆積物形成プロセスの解釈を結び付けて議論するための新規情報を取得できる．本発表では従来法による粒度分析結果との比較から，循環型の粒度分析によって堆積物形成プロセスについて，どのように理解できるか議論したい．