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[HCG27-08] 高レベル放射性廃棄物等の地層処分に関する理解活動と教育分野での取組み
キーワード:地層処分、高レベル放射性廃棄物、理解活動、教育
1 はじめに
原子力発電環境整備機構(以下,NUMOという)は,特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律に基づいて2000年10月に高レベル放射性廃棄物の地層処分を行う実施主体として設立された。NUMOは、技術的な信頼向上に努める一方、広報・対話活動を展開し、地層処分事業に関する認知度の拡大、理解向上に努めてきた。本論では,NUMOが実施している理解活動および教育分野での取り組みを紹介する。
2 これまでの経緯
NUMOは2000年に設立され、2002年12月には調査区域の公募を開始した。2007年1月に高知県東洋町から文献調査に対する応募があったが、地元で反対運動が起こり、最終的には応募取り下げとなった。この経験から、地層処分の実現には、その安全性や処分地選定方法に関するより丁寧な説明が必要との認識に至り、座談会やワークショップ等の少人数による対話を中心に展開した。
2011年3月、東日本大震災および福島第一原子力発電所の事故が発生し、広報活動を一旦自粛し、活動内容の見直しを図った上で、2013年に理解活動を再開した。
2015年5月には、特定放射性廃棄物の最終処分に関する基本方針が国によって改定され、これに基づき、全国的な理解活動を展開し、併せて若年層を含む幅広い世代への理解活動を強化した。
2017年7月には国が科学的特性マップを公表し、全国を4色に色分してこの問題への関心喚起に努める一方で、これまでの全国一律に実施している対話活動から新たな一歩を踏み出した。
3 地層処分に関する理解活動
(1)全国での説明会等
2014年から地層処分に関する全国説明会を実施しており、2017年12月までに全国で124回開催し、延べ参加人数は約11,600名である。説明会では主催者側からの情報提供に加え、登壇者が会場からの質問に回答するという構成で実施しており、最近は参加者のうち希望者に少人数のテーブルに分かれてもらい、NUMO職員と対話をするという方法でも実施している。
(2)メディア広報
NUMOでは新聞や雑誌等のメディアを活用した広報活動を展開している。2017年には次世代層への理解活動として、大学の広告研究会に地層処分の理解活動の企画案を競うコンクールを開催した。また、映像制作を学んでいる大学の学生に地層処分を紹介するプロモーションビデオを制作してもらう等の取組みを実施した。
(3)SNS等を用いた取組み
NUMOではSNS等を用いた情報提供として、ホームページ、メールマガジン、Facebook、YouTube等を活用しており、常に最新の情報が入手できるよう日々アップデートを続けている。
4 教育分野での取組み
(1)学校教育での授業化に向けた取組み
地層処分事業を次世代層に社会的課題の一つとして認識してもらうために、2013年度から教育関係者を対象として、授業実践を目的とした授業研究(学習指導案の作成や教材開発など)を行う全国10ヶ所程度の研究会組織に対する支援活動を行っている。
研究会の成果物である「学習指導案」や「授業レポート」は専用Webサイトに掲載し、広く公開している。現状、専用Webサイトに掲載している成果は、学習指導案45案(小学校23案、中学校16件、高校6件)、授業レポート11案 他 (2017年10月現在)である。また、毎年3月には全国の教育関係者による全国研修会を開催し、先生方の意見交換や情報共有を促すと同時に、全国研修会の内容を教育専門の新聞に掲載することで、教育業界で広く知ってもらう取組みを行っている。
また、2016年度には、現役の小中学校の先生等の意見を反映して、基本教材(小学生用、中学生用、教師用解説)を作成し、全国の教育委員会やエネルギー教育に関心の高い学校に配付した(図1)。
(2)出前授業
NUMO職員が出前授業を行う取組みを2015年度から実施している。これまでに小学校、中学校、大学等に出向き、約2年間で54回・約3,000名に対して情報提供を行った。出前授業にあたっては生徒同士が班に分かれて話合いをするアクティブラーニングの試みも実施している。
(3)大学でのディベート講義
大学のディベートに関する講義のテーマとして地層処分を扱う講義の支援を2012年から行っている。これまでに受講した学生数は、約380名である。NUMOは、学生がディベートできる基本的な知識を持ってもらうための支援として、専門家の講義、施設見学等を行っている。
(4)地層処分模型展示車を用いた若年層への理解活動
全国各地で地層処分について知ってもらう機会を設けることを目的に、2013年度に導入した地層処分模型展示車(ジオ・ミライ号)を用いて全国を巡回し,若年層を中心とした国民との対話活動を実施している(図2)。2017年12月までに延べ116地点に出向き、約73,000名の参加者を得た。
原子力発電環境整備機構(以下,NUMOという)は,特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律に基づいて2000年10月に高レベル放射性廃棄物の地層処分を行う実施主体として設立された。NUMOは、技術的な信頼向上に努める一方、広報・対話活動を展開し、地層処分事業に関する認知度の拡大、理解向上に努めてきた。本論では,NUMOが実施している理解活動および教育分野での取り組みを紹介する。
2 これまでの経緯
NUMOは2000年に設立され、2002年12月には調査区域の公募を開始した。2007年1月に高知県東洋町から文献調査に対する応募があったが、地元で反対運動が起こり、最終的には応募取り下げとなった。この経験から、地層処分の実現には、その安全性や処分地選定方法に関するより丁寧な説明が必要との認識に至り、座談会やワークショップ等の少人数による対話を中心に展開した。
2011年3月、東日本大震災および福島第一原子力発電所の事故が発生し、広報活動を一旦自粛し、活動内容の見直しを図った上で、2013年に理解活動を再開した。
2015年5月には、特定放射性廃棄物の最終処分に関する基本方針が国によって改定され、これに基づき、全国的な理解活動を展開し、併せて若年層を含む幅広い世代への理解活動を強化した。
2017年7月には国が科学的特性マップを公表し、全国を4色に色分してこの問題への関心喚起に努める一方で、これまでの全国一律に実施している対話活動から新たな一歩を踏み出した。
3 地層処分に関する理解活動
(1)全国での説明会等
2014年から地層処分に関する全国説明会を実施しており、2017年12月までに全国で124回開催し、延べ参加人数は約11,600名である。説明会では主催者側からの情報提供に加え、登壇者が会場からの質問に回答するという構成で実施しており、最近は参加者のうち希望者に少人数のテーブルに分かれてもらい、NUMO職員と対話をするという方法でも実施している。
(2)メディア広報
NUMOでは新聞や雑誌等のメディアを活用した広報活動を展開している。2017年には次世代層への理解活動として、大学の広告研究会に地層処分の理解活動の企画案を競うコンクールを開催した。また、映像制作を学んでいる大学の学生に地層処分を紹介するプロモーションビデオを制作してもらう等の取組みを実施した。
(3)SNS等を用いた取組み
NUMOではSNS等を用いた情報提供として、ホームページ、メールマガジン、Facebook、YouTube等を活用しており、常に最新の情報が入手できるよう日々アップデートを続けている。
4 教育分野での取組み
(1)学校教育での授業化に向けた取組み
地層処分事業を次世代層に社会的課題の一つとして認識してもらうために、2013年度から教育関係者を対象として、授業実践を目的とした授業研究(学習指導案の作成や教材開発など)を行う全国10ヶ所程度の研究会組織に対する支援活動を行っている。
研究会の成果物である「学習指導案」や「授業レポート」は専用Webサイトに掲載し、広く公開している。現状、専用Webサイトに掲載している成果は、学習指導案45案(小学校23案、中学校16件、高校6件)、授業レポート11案 他 (2017年10月現在)である。また、毎年3月には全国の教育関係者による全国研修会を開催し、先生方の意見交換や情報共有を促すと同時に、全国研修会の内容を教育専門の新聞に掲載することで、教育業界で広く知ってもらう取組みを行っている。
また、2016年度には、現役の小中学校の先生等の意見を反映して、基本教材(小学生用、中学生用、教師用解説)を作成し、全国の教育委員会やエネルギー教育に関心の高い学校に配付した(図1)。
(2)出前授業
NUMO職員が出前授業を行う取組みを2015年度から実施している。これまでに小学校、中学校、大学等に出向き、約2年間で54回・約3,000名に対して情報提供を行った。出前授業にあたっては生徒同士が班に分かれて話合いをするアクティブラーニングの試みも実施している。
(3)大学でのディベート講義
大学のディベートに関する講義のテーマとして地層処分を扱う講義の支援を2012年から行っている。これまでに受講した学生数は、約380名である。NUMOは、学生がディベートできる基本的な知識を持ってもらうための支援として、専門家の講義、施設見学等を行っている。
(4)地層処分模型展示車を用いた若年層への理解活動
全国各地で地層処分について知ってもらう機会を設けることを目的に、2013年度に導入した地層処分模型展示車(ジオ・ミライ号)を用いて全国を巡回し,若年層を中心とした国民との対話活動を実施している(図2)。2017年12月までに延べ116地点に出向き、約73,000名の参加者を得た。